株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 実際に行った投資から、赤字企業への対処について、どう考えたのかを記しておきます。


 参考になれば幸いです。


 まずは、赤字にもかかわらず保有し続けている事例です。





<トヨタ自動車>


 リーマンショック後、およそ半世紀ぶりの赤字、それも巨額の赤字に沈みました。


 が、単年で損失処理を終え、翌年には黒字転換。


 直後に新社長に交替し、経営の規律を取り戻しているように見えます。


 赤字を出した社長さんは、その後、副会長になり、現在は取締役会に名前がありません。


 責任の所在をはっきりさせたものと受け止めています。


 新社長となった創業家の章男社長は、「原点回帰」を訴えていて、これはとても共感できました。


 ピンチに陥って原点を忘れ、儲かりそうなところへ大ジャンプというのが、地獄へ行く方法の1つであることは間違いないからです。


 アメリカで問題視されたアクセルの不具合の疑惑では、初動が遅れ心配しましたが、その後の経営は苦しい中でよくやってくれていると感じています。


 真摯さ、公平さを感じさせる良い社長さんだと思います。


 後は、肝心要の成果がついてくれば完璧です。


 章男社長については、ただのクルマ好きという評価も見ましたが、そもそも、これまでの経営者はクルマが好きだったのでしょうか?


 クルマを単なる移動手段としか捉えてなかったのではないでしょうか?


 あるいは、クルマよりも巨大企業の経営が好きだったとか。


 一旦こけて、韓国企業の追い上げや根強い欧米、特にドイツ車への支持を目の当たりにすると、これまで自動車評論家がトヨタに苦言を呈し続けてきた意味も理解できます。


 個人的には、「クルマ好き」であることは、自動車会社の経営者の条件の1つじゃないかなと思います。


 「ただの」クルマ好きかどうかは、時間が証明してくれるでしょう。





<オムロン>


 赤字は単年で止まりました。


 人は切らず。


 その後、新社長さんに交替しましたが、新興国で実績を積んだ人を指名委員会が指名していて、企業統治が機能していることを感じさせてくれました。


 こちらも成果が出てくれば理想的です。


 企業統治体制は、投資家にとっても勉強になるはず。


 誰にでも分かる素晴らしい社憲を持っていて、これに沿った経営をしているかどうかを見ていればいいので、保有は楽です。


 さすがに、最初に買った値段の3分の1にまで株価が下落した時は、冷や汗ものでしたが。w





 以上、ポートフォリオから切り離していない例です。


(あまりに下落したため、少し多めに突っ込み過ぎて、ポートフォリオのバランスの観点から戻りを少し売却したことはあります。)


 赤字の責任を引受け、あるいは、事実上、責任をとって次の新社長に交代し、その新社長の経歴、実績が企業の目指す未来に適合している場合と言ったらいいでしょうか。


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続きだよ


 続いて、売却した企業です。





<某世界的企業S>


 4期連続赤字連発。


 1万人規模のリストラも2回炸裂。


 赤字額は小、小、大、大と来ましたが、先行する2年の小赤字をもっと重大視すべきだったかもしれません。


 記憶する限りでは、取締役会に責任らしきものを取った気配なし。


 ただし、執行役は報酬減額という報道をネットで見ました。


 現場の優秀な下士官に責任を取らせたノモンハンの旧関東軍のようです。


 敗れる組織には、似た現象が出てくるのかもしれません。


(半藤一利著「昭和史」「ノモンハンの夏」を読んでみてください。投資先の企業に旧日本軍と同じニオイを感じたら、売却して撤退した方がいいかもしれません。「昭和史」の方は、経済誌でライフネット生命の出口社長が勧めていらっしゃったと記憶しています。この他、野中郁次郎編著「失敗の本質」という本もお勧めです。)


 3期目の大赤字では、優秀な人材獲得のためとCEOの高額報酬を正当化。


 4期目の大赤字では、さすがに取締役会の「椅子の組み替え」が行われました。


 が、経営体制自体は温存。


 なお、3期目の大赤字の後、ネットで個人情報の流出という事態が起きましたが、CEOによる説明には1週間かかり、これまた責任を引き受けたという記憶はありません。


 新社長は、自社の株式を保有しておらず、取締役会のメンバーも14人中5人が未保有。


 社外取締役には全員、責任限定契約(会社に何かあっても株主からの損害賠償額を一定の範囲に限定する契約)が付されており、積極的に責任を引き受ける気はない模様。


 後から考えると、怒りを通り越して笑えてきます。


 もちろん、自分のアホさ加減にです。


 株価は32年ぶりの安値に沈みました。


 反省点としては、3期目の赤字の際に高額報酬を正当化した時点で黙って売りだったかなと。


 思い入れの強さから、ずるずると保有を続けてしまい、あまりの経営っぷりに耐えられずに売却しました。


 現在のところ、ほぼ底値での売却になるんじゃないかな。w


 なお、同社は「ビジョナリー・カンパニー」という本に、日本企業で唯一取り上げられたほどの企業で、過去の優れた経営が現在は変化している可能性に注意が必要であることを教えてくれます。


 一連の経営には、ある意味、経営の真髄ともいうべきものが詰まっており、投資家にとってはとても良い反面教師になりそう。


 同社の経営を記した、「さよなら!僕らのソニー」という本があります。(←あ、名前がばれた。w)


 読んでおくといいでしょう。


 知人が勤めており、行く末を心配せずにはいられません。


 日本企業全般にいえるのかもしれませんが、従業員さんはとても真面目でよく働いている印象を受けます。


 しかし、自分の与えられた職場、言い換えると、たこ壷の中に入ってしまっていて、会社全体、特に肝心の経営についての視点が欠落しているのではないでしょうか。


 およそ外部から見て信じ難い経営が行われるのは、会社内部の無関心も影響している気がします。


 でも、後でツケを払わされるのは、他ならぬ従業員さんです。


 コマツの坂根会長が、やむを得ず人員削減を伴うリストラを行う時に、「我々(経営陣)も悪かったが、君たちも悪かった。」と語ったと本に書かれていたと思います。


 たこ壷に入らざるを得ない環境もあるのかもしれませんが、それでいいという訳でもないでしょう。


 乗り換え先として、任天堂、総合商社などをちょこちょこと買いました。


(任天堂も上場来初という不名誉な赤字を計上しましたが、岩田社長は即座に報酬減額を発表。当初50%の減額が、株主総会ではさらに60%以上の減額へと増額されていたと思います。辞任しない場合、このような形で責任を引受けることは当然です。しかし、当たり前のことが当たり前にできる公正な社長は、少ないのが現実です。個人的には、この経営態度は信頼に値するものと考え、日本の優秀企業である任天堂を買っていく決断を下しました。1単元が高いので、単元未満株をちょこちょこと拾っているところです。しかし、ここまで値下りするとわ。w)





<シリコンウェハ世界シェアトップ級のS>


 リーマンショック後に巨額赤字連発。


 後から新聞の切り抜きを見返したら、リーマンショック前に巨額の設備投資をど~んと国内にやっていました。w


 これは先にある不景気、円高への転換のリスクをほぼ無視していたものと思われ、その後の巨額赤字がこのことを雄弁に物語っています。


 この手の「流行に乗って景気の頂点で行う順張り巨額の投資」は、家電メーカーを含めて赤字企業の特徴でもあります。


 証券市場なら「損切り」でカネを無くして済む話でも、実業ではそうはいきません。


 企業経営には人が関わる以上、人員削減などのリストラが、ライバル企業への人材流出や既存社員の士気低下、将来入社して来る人材の質といったところに影響しないわけはないからです。


 これらは肝心の将来の利益を生む資産を失うことにつながり、将来に渡り大きな負の効果を与えるものと考えられます。


 要するに、実業では実際のカネ以上に失うものが大きいのです。


 経営者には、流行や雰囲気に惑わされない一種独特の嗅覚ともいうべき感覚が求められるのかもしれません。


 失敗した経営者の肩を持つわけではないのですが、巨額投資を行ったその時点では、「合理的」に見えるものであったはずです。


 少なくとも、明らかに不合理といえるものではなかったはずです。


 このような経営から投資家が学ぶべきことも多いです。


 経営者は交代して、責任は明確化した形ですが、苦境は変わっていません。


 震災後、同業大手の信越化学の被災と太陽電池関連を材料として株価が上がった時に売却。


 震災で打撃を受け、株価が相対的に沈んでしまった同業世界首位の信越化学へ乗り換え。


 リーマンショックの後、両社の経営を見て来て信越化学に惚れ込んでいたので、個人的にこの株価の動きは両社の比較で見た場合、大きな価値と価格の差が出たと判断できた事例です。


(一時的な株価材料によって、明らかに良い方の企業が売られ、劣後する企業が買われた。)


 ちなみに、この企業はその後、太陽電池用ウェハから撤退した模様。


 自分が当初設定していた投資テーマが、大外れに終わった瞬間でもありました。ww


 材料を探す前に、まず良い企業、強い企業がどこなのかを認識すべきです。


 なお、自分は切り離したのですが、うちの保有するさわかみファンドはガッチリと保有しており、おそらく、景気回復局面では底値からど~んと回復する可能性もあるんじゃないかと思います。


 一個人投資家の身としては、この手の投資は最小限に止めたいので、さわかみファンド保有分や自分が直接保有する企業の保有分(コマツなどが出資している)で満足することにしています。





 他にもポートフォリオから切り離した企業はあるのですが、特に勉強になった企業を記しました。


 2期以上連続の赤字は自分の理解の範囲を超えることから、ポートフォリオから外すという投資ルールを決めたのですが、いざ売るといっても、いつ売るのかは悩ましいです。


 適切な乗り換え先が存在するとき、株価が一旦回復したときは1つの機会となりますが、もはや一刻の猶予もすべきでないという場合もあります。


 それなりの思い入れをもって買ってるわけですから、気持ちの面からも売ることは難しいです。


 こうならないよう、まずは買うときに慎重に考えるというのが1つ。


 いざ売らなければいけないという判断を下したら、いつ売っても割高くらいの気持ちで、含み損や売却後の値上がりは無視すること。


 こんな感じでしょうか。


 読んでくれた方が、自分の投資経験のように感じて、今後に生かしてくれることを願って止みません。





<おまけ:売る時の事例別対処>


 会社に毛ほどの信頼も残っておらず、半永久株主が大切にされていないという確信を持ったときは、即売り。


 急激な環境変化などで業績が悪化し、ある程度やむを得ない面もあることから、会社に対する信頼が完全に崩れたわけではないが、半永久保有するほどには確信を持てなくなった場合は、時機を見て売却。


 時機とは、同業やその他の優良企業との株価比較で価値と価格に差が出たと考えられるとき。


 あるいは、日経平均など相場全体の戻りと共に保有企業の株価も一定程度戻ったときなど。


 なお、一旦売却と決めて売却した以上、視界と記憶から完全に消し去るのが吉です。


 また株価が下がったときに値幅を抜いて、などと良からぬことを考えると、ろくでもないことになります。


 私も経営破綻した某企業で危うく引っ掛かるところでした。w


 やる価値のないことをうまくやっても意味がないという、バフェットじっちゃまの盟友、チャーリー・マンガーじいじの言葉は肝に銘じておくべきです。