株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

*割安株投資に関して、ネットネットバリューという企業価値算定法が東洋経済に出ていましたので、これについての個人的な見解を後付けで差し挟んでおきます。割安株投資の記事と合わせて、参考にしてください。





 バフェットじっちゃまのお師匠さんのグレアム大御師匠が考えたバリュー投資では、時価総額が簿価(清算価値)を下回っている企業を買うことを推奨しています。


 このとき、実際に会社が解散して清算するとなると、簿価よりも低い価格で資産を売却することを強いられる可能性が高いです。


 そこで清算価値を簿価からさらに割り引いて会社の価値を算定しようというのが、ネットネットバリューの考え方です。


 ネットバリューとは、貸借対照表でいうところの純資産のことですが、これをさらに実際の解散価値に割り引くことで、さらなる正味の純資産価値を弾こうというわけです。


 まず貸借対照表上の資産を以下の算出方式で割り引いていきます。


 現金        100%
 有価証券      100%
 売掛金・受取手形   85%
 棚卸資産       50%
 有形固定資産     45%
 営業権         0%
 繰延税金資産      0%


 貸借対照表の借方の部分、つまり左側の資産の部の価値をこういう具合に見積もり、ここから貸方の部分である右側上部の負債を引きます。


 これにさらに3分の2をかけたものが、正味純資産、ネットネットバリューとなります。


 正味純資産=(割引資産価値-負債)×2÷3


 株式を買う時は、時価総額がこの正味純資産を下回る値段で買いなさいというのが、グレアム大御師匠の教えということになります。


 以下、この考え方についての個人的な意見を書いておきます。


続き


 貸借対照表は継続して行われる事業の1時点を示したものに過ぎず、実際には会社の事業継続には様々な費用がかかります。


 事業を継続していく間に、直近の貸借対照表で示されている資産価値は、どんどん食われていく可能性も高いです。


 ことに、ここまで安く放置されている企業となると、市場が将来性を見出せないということであり、従業員の給料、取締役の報酬、その他の事業継続のための費用を支払っている間に、赤字を連発するということもありえます。


 うまくいっていない事業を安い値段で買っても、なかなか思うようにはいかないのではないかというのが、個人的な意見です。


 この投資法については、チャーリー・マンガーじっちゃまが否定的、バフェットじっちゃまも「そこそこ機能してくれた」と評価しつつ、「良い事業を相応の値段で買った方がいい」とアドバイスしています。


 企業の評価はその資産価値ではなく、将来に創出するキャッシュフローに基づいて行うべきなのだと考えています。


 つまり、将来的にも利益を出せない事業をいくら割安で買っても、大きな意味はないということです。


 ここでは、資産価値から見て割安であることが重要なのではなく、この資産を抱えていて『これこれこれだけの利益を将来において出せるだけの実力はある』にもかかわらず、その値段で取引されていることが重要なのです。


 この考え方は、証券評価の1つの基準を示すものとして意義深いものですが、その本質的重要性はこの算出法自体ではなく、むしろこの考え方に現れている「安全余裕度」の概念です。


 本来の清算価値である純資産の簿価を割り引き、さらにその3分の2を正味純資産と見積もることで、株式を底の底の底値で買ってやろうという意図が見えます。


 値下りのリスクを極限まで減らしていこうというわけです。


 しかしながら、投資家は事業の形式的価値算定のみではなく、その事業の性質、取締役の能力、従業員の能力、競合他社からの優位性、その他の実質的判断を踏まえた上で、投資を行うべきではないでしょうか。


 形式的価値算定は、その実質部分の確信が得られて初めて機能するものだと考えます。