株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 会計の専門家ではないので、甚だ怪しいところもあるかと思いますが、財務諸表を確認しているときに注意しているところを書きます。





流動比率
 流動資産と流動負債の比率。流動資産を流動負債で割って100をかける。単位はパーセント。100パーセントを越えていれば、1年以内に支払義務の生じる負債(流動負債)につき十分な支払能力(流動資産)を持っていることになります。
 信越化学、任天堂といったあたりは、300%を越える流動比率を誇っており、マキタに至ると500%近くに達します。日本企業全般に、借金を減らし現金をため込む傾向が続いているようです。安全志向であることはいいのですが、利益に結びつかない流動資産をやたらと保有しているなら、褒められたことではありません。株主は預貯金や債券投資をしたいわけではないからです。資本の効率性(ROE)ともあわせて見てみると良いです。


固定資産と資本(株主資本)の比率
 固定資産には生産に必要な施設などが含まれ、すぐに現金化できません。ちなみに、貸借対照表の資産の部(左側)には、現金化しやすいものから上に記載されます。固定資産は現金化が難しいので、流動資産より下に記載されているはずです。固定資産が株主資本でまかなわれている場合(固定資産の額より株主資本の額のほうが大きい場合)、急激なショックに対しても、負債の返済でバタバタしなくて済む体質と言えるでしょう。
 1980年代のバブル以前、銀行は借り換えに当然応じる存在であり、企業のバランスシート上の負債は事実上の資本(元本を返済しなくてもよい)として機能していたそうです。しかし、競争力を高めた優良企業は、他人資本である銀行からの借金に頼る必要がなくなり負債を圧縮。貸出先に困っていた銀行が「向こう傷は問わない」(ある金融経営陣の一人の当時のお言葉)姿勢で貸し出した結果、巨大バブルが生じました。バブル崩壊後は銀行があてにできなくなったこともあり、多くの企業は負債を圧縮して強靭な企業体質を築き上げているはずです。


株主資本比率
 総資産における株主資本の比率です。負債が少ない方がいいのは、言うまでもありません。平均的には30%以上の株主資本比率があれば良いそうです。上に挙げた信越化学、任天堂、マキタの3社の株主資本比率は、80%を越えるような数字です。
 負債に頼らず株主資本比率を高めると、株主資本利益率が低下します。資本の効率性が下がることになりますが、強固な収益力を備えた会社であれば、資本の効率性を犠牲にしてもなお、株主を納得させられるだけの利益をあげられます。これに対し、収益力の低い企業は負債に頼って株主資本利益率を高めるケースがあり、注意が必要です。アメリカの家電量販店サーキットシティの破綻の原因の1つもこれだったという話です。20%を下回る企業への投資は、利益がきちんと安定的に出る事業なのか、事業上のリスクをきちんと回避できるのか、注意が必要だと思います。


売上高営業利益率
 売上高のうち、どれくらいが本業で稼いだ営業利益になっているかを示す数字です。10%程度あれば、一応合格点かなと思います。好景気においてすら大した数字をあげられない場合、事業内容にもよりますが、将来確実に来る不景気によって売上高が減少した時に、赤字を出しやすい体質となります。ヤフー、マニーといったあたりは、強烈な売上高営業利益率です。他に、DeNA、グリーやファナックなどもチェックしてみるといいでしょう。
 大企業の営業利益率は、長期的に低落傾向になるようです。売上高の上昇を成長と捉え、利益のあがらない事業を温存したり、利益のあがらない事業へ進出していると、こういうことになるのでしょう。株主にとっての成長とは1株あたりの利益の成長のことで、売上高の成長ではありません。売上高の成長は1株利益の成長のためであって、売上高の成長のみが自己目的化していないか、経営をよく見ておくべきだと思います。


株主資本利益率
 ROEとも言い、株式投資には非常に重要な数字です。株主からの預かりものである資本を利用して、どれだけの純利益をあげたかを示します。負債が少なくて資本の効率性(ROE)が高い企業を探すのが、良い投資への近道になると思います。10%以上を一応の目安にすると良いでしょう。多くの企業も10%を目標にしています。好景気に10%程度というのが、平均的な日本企業の姿ではないかと思います。
 新興SNSゲーム会社、グリーやDeNAなどは、最近問題になったコンプガチャを差し置いても、鼻血の飛び出そうな強烈な数字を叩き出しています。ネット企業は、そもそも事業に大規模な資本を必要としないため、ROEが高い傾向があると思います。これはメディア事業の特徴とも言えるもので、バフェットじっちゃまがインフレに対して有効な事業だと仰る理由もここにあると思われます。少額の固定資産で安定して高い利益をあげるビジネスは、メディアと同じ特徴を持つ良い事業であり、そういった事業で自分の理解できるものを探すことは1つの方法でしょう。
 この数字も成長が止まると低落傾向を示します。しょうもない買収や、新規事業進出をしてみたはいいが利益が出ないといったことが理由ではないかと思います。資本の効率性を維持し続けることは、かなり難しいことのようです。


営業キャッシュフロー
 きちんとプラスを達成しているかどうかが重要です。企業再生のプロの人たちも、うまくいかない企業を建て直すときは、まずこの数字を確認するようです。ここがプラスであれば、なんとかなるんだそうです。企業価値を算定するときに、ディスカウントキャッシュフローという概念を使いますが、このキャッシュフローは将来のフリーキャッシュフローのことで、そのフリーキャッシュフローは営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足して出てくる数字です。投資キャッシュフローについては、将来のための投資を行うのが通常ですからキャッシュは流出し、通常はマイナスの数字です。従って、営業キャッシュフローがプラスでなければ、本業によって将来的な価値(現金創出力)を生み出すのが難しいということになります。
 ことに、株価が上がった後の好景気において、フリーキャッシュフローがマイナスの場合、投資を回収して現金化できていないことになります。現在、苦境に陥っているシャープが金融危機前にこの状態であったようです。景気が回復していたにもかかわらず、投資のアクセルを踏み続けていたのでしょう。株価が上がり好景気となった場合、営業キャッシュフローと併せてフリーキャッシュフローも見ておくとよいと思います。





 ざざっと確認して、理想的でなければ、ああ何かしら問題があるんだなと。


 投資対象として考えている企業の中での順位を下げちゃいます。


 株価を見ながら買っていく順番や、買った後の投資行動、つまり上がった後も保有を続けるのか、売って比率を下げるのかという判断の基礎にもしています。


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続き


<自己資本比率についての追記>


 東洋経済2013年6月22日号の野口教授のコラムによると、法人企業統計で見た金融業と保険業を除く全産業の自己資本比率は、2013年1〜3月期で38・3%であるとされています。


 1980年代は16%程度、2000年頃には26%程度だったそうです。


 また、2013年5月18日号に会社の数字の特集が組まれていて、そこでは自己資本比率の目安を15〜20%としていました。


 また、この号では、手元流動性と流動比率との関係にも触れられていました。


 上に書いていない手元流動性は、現預金と換金しやすい流動資産(市場ですぐに売却できる株式など)の合計を1ヶ月分の売上高(1年の売上高を12で割って算出するのが一般的)で割ったもので、単位はヶ月です。


 1ヶ月の売上(入ってくるお金)に対して、どのくらい流動資産を確保しているかを表します。


 例えば、年間1200億円(1ヶ月100億円)の売上がある企業が、現預金を100億円、市場で売却可能な債券を30億円、株式を20億円保有していたとします。


 この企業は、150億円の流動資産に対して、1ヶ月の売上が100億円ですから、1・5ヶ月の手元流動性を持っていることになります。


 一般的な目安は大企業で1ヶ月以上、中小企業で1・5ヶ月以上だそうです。


 この手元流動性が、短期的な安全性を示し、資金繰りが悪化して突然死しないかどうかの指標となるそうです。


 次に流動比率があって、目安が120%以上。


 最後に、長期の安全指標としての自己資本比率。


 このように短期から長期の安全指標があり、短期からチェックしていくのだそうです。


 これらは大事な指標ですが、企業体や経営者への信頼の方が大事で、ここがしっかりしていればそう神経質になることはないと思います。


 大体において、自分がわかった時には既に遅いのが株式市場ですから。w