株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 金融危機からの回復の過程で、数年前に社会的責任投資として注目してきた企業からの撤退を進めました。


 といっても、社会的責任投資の考え方が間違いであるというわけではありません。


 大事な考え方なんだけど、自分の捉え方に誤りがあったことに気付いたからです。


 様々な事業上の取り組みや技術開発に大きな魅力を感じることも多々あったのですが、肝心のことができていない企業が多かったのです。


 それは、何があろうと必ず最終的に黒字を出すということです。


(これは、信越化学の金川会長も仰っていることだと記憶しています。)


 最終的に赤字を出せば、いかに寄付をしていようが、慈善活動をしていようが、自然エネルギー開発をしていようが、社会的責任を果たしたことになりません。


 まず法人税が納められず、国や自治体の行うインフラ整備などの公益事業の恩恵にただ乗りになることがあげられます。


 また、こういった危機時に税収が減れば、国の財政にも赤信号が点灯してしまいます。


 実際、金融危機時には、銀行などの金融機関保護のコストなどより、税収が減ることの方が財政に与える影響が大きいのだそうです。(興味のある方は、「国家は破綻する」という本を参照してみて下さい。投資にも役立つと思います。)


 黒字を確保し、税金を納めることは最低限の社会的責任といってもいいでしょう。


 次に、大赤字を出せば、企業の使命である雇用確保が危うくなります。


 不景気だからリストラだ、雇用も維持できない、なんてことをやっていると、会社から切り離された人が社会での居場所を無くし、その結果、社会不安が高まります。


 このような害悪を垂れ流しておいて、社会的責任もへったくれもありません。


 何より赤字は、株主(多様化している現在、ほとんど社会全体といってもいいと思います)からの大切な預かりものである資本を毀損する行為であり、言葉は悪いですが「ドロボウ」です。


 資本コストを超える利益どころか、損失を与えて、自分たちの懐だけは潤す行為は、基本的に許容されるものではないと思います。


 将来のために株主自身がある程度赤字を許容している新興企業ならともかく、利益を出す事が前提の大企業がやることではないでしょう。


 とはいえ、基準にしているトヨタ自動車ですら50何年かぶりの大赤字でしたから、以下のように考えました。


 コマツの坂根会長の考えを元に、痛みを伴う構造改革は基本的に1回限り。


 従って、それに伴う赤字も1年が限度で、赤字が2年以上続いたら撤退。


 この基準で見ると、個人的に将来に期待している企業も引っ掛かってしまうのですが、戻りを売ってポートフォリオから切り離しています。


 経営に改善点が見られ、新たに確信を抱かせてもらえるようになれば、次の株価下落の際に買う機会があるでしょう。


 他にも、赤字を出して無配転落というのは、長期保有する意味がなくなるので、基本的に撤退です。


 苦しい時期に配当を維持しているような企業は、断固買い下がるという覚悟を決められます。


 しかし、減配を越えてあっさりと無配に転落する企業は、何のために買い下がるのか悩んでしまいます。


 多くの場合、答えは「やまっけ」でしょうが、それが相当に難しい投資になることは、金融危機で思い知りました。


 やる価値のないことをうまくやっても意味がないのだと、チャーリー・マンガーじいじに笑われるに違いありません。


 理想はできる限り簡単な事業で、きちんと稼いでいて、魅力的な経営者に率いられている企業群でポートフォリオをつくり、それをただひたすら保有し続けることと考えています。


 最終的にはできるだけ資金を動かさずに済むポートフォリオを作りたいです。


 こうは書きつつも、未だに撤退できない企業もあるわけですが(笑)。


 徹頭徹尾、合理的な投資に徹することは、なかなかに難しいです。


 自省も込めて書けば、企業を応援する方法は投資をして株式を保有することだけではない、ということを肝に銘じておくべきなのでしょう。


 投資すべき企業と商品購入やサービス利用をしたい企業というのは、一致しないこともよくあります。


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続き


 もう1つ、トヨタ自動車を基準とする以上、ここと比較して優位性を何1つ感じない企業も撤退としました。


 トヨタ以下との確信しか持てないのだったら、トヨタで十分だからです。


 確信を持つに至らない企業でポートフォリオを構成することは、競馬でいう「穴」が来るのを期待して余計なリスクを抱え込むことになると思います。


 これもまた金融危機を通じて、いかんなぁと思い知らされたことです。


 底値からの反発の度合いなど、株価だけを見ていれば、このような事業で大きく値幅を抜くことはできるでしょう。


 しかし、「長期的に」その企業を保有し続けられるかという視点からは、疑問も大きいです。


 トヨタの時価総額を見れば分かりますが、株価下落にも関わらず2位以下とは大きな差があります。


 それほど巨大なトヨタに何かが起きれば、それは日本経済に何かが起きているということです。


 そのようなショックに対してトヨタ以上であるとの確信を抱かせてもらえる強い企業こそが、投資すべき企業ではないかと思います。


 このように、良くも悪くもトヨタ自動車は参考にすべき企業ではないかと考えています。


 金融危機以降は、残念な状態が続いていますが。


 ただ、未だに日本での生産にこだわる章男社長の姿を見て、腰をすえないといけないなと覚悟を決めています。