株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 ビジョナリー・カンパニーの著者、ジム・コリンズ氏によると、企業の衰退は、成長によるおごり、規律なき膨張、リスクと危うさの否認、ひたすら救世主にすがる、の4段階を経るそうです。


 2010年1月20日付日経新聞の社説で、日本航空のたどった過程が、まさにそうだったという指摘がされていました。


 急成長している間に見えなかった(見ようとしなかった)問題点が噴き出し自壊してしまうというのは、何も企業に限ったことではないのでしょう。


 私の破綻企業の経験では、パシフ○ックホールディングスがまさにこの過程を経たように思います。


 好景気にどんどん事業を拡大し、不景気が来て困った事態に陥り、最後はひたすら「走出去」戦略による中国投資家の投資にすがっていました。w


 結局、投資を見送られ、あえなく破綻。


 トヨタ自動車の章男社長は、トヨタが現在、ひたすら救世主にすがる段階であると危機感を訴えていました。


 最強企業といわれたトヨタにも落日の面影。


 しかし、経営トップに危機意識があり、それを社内で共有できている間は大きな問題はないかなと思っています。


 トップが作業服を着なくなったら、縁切りの準備をした方がいいかもしれません。w


 話が逸れましたが、ここに一時期、「分散」の観点と山っけから保有していた日本航空について、反省を込めて思うところを書き残しておこうと思います。


続き


 日本航空を買ったのは、ナショナルフラッグキャリアへの思い入れとか、小さい時にコクピットを見せてくれた日航の職員さんへの思いとか、感情的な部分が大きかったです。


 こういう好き嫌いの感情は大切にしなければなりませんが、それだけでは痛い目を見ますね。w


 経済学者のアルフレッド・マーシャルではありませんが、投資もウォームハートとクールヘッドをバランスよく使いこなしていかなくてはいけないなと感じた次第です。


 もう1つには、「分散」投資の考え方も影響していました。


 まず、この「分散」についてですが、恐らく、「山っけ」という厄介な感情が影響していると思います。


 つまり、「大化けするかもしれない」という将来に対するあやふやな期待感です。


 しかし、大化けする企業を1つ安い値段で組み入れるために、高い値段でどうしようもない企業をいくつも抱え込んでいる面があると思います。


 不景気で株価が低迷して何でもかんでも安い局面において、何が良いのか分からない人には、「分散」はある意味で正しい選択でしょう。


 しかし、好景気で株価が高い局面での「分散」は、支払う代償も大きいと思います。


 つまり、どうしてもありきたりの「分散」をしたいのなら、最低限買う時期(大きく買う時期)くらいは考えておいた方が良いと思います。


 次に、日本航空についてですが、まず空輸産業について。


 確かに、航空旅客需要はグローバル化と新興国の市場参加によって、今後増加していくと思います。


 んが、しかし、それによって売上が増えるということと、株主に帰属すべき最終利益が伸びることとは、全く別の問題です。


 不毛なコスト競争を強いられ、高コスト体質で利益が出せない可能性だってなきにしもあらず。


 つまり、同一のサービスであるならば、安い方が有利になってしまい、高い値段で供給する企業は経営が苦しくなるということです。


 スーパーハイクラスのブランド力を持ち、「日航でないと乗らない」といった方も多い日本航空が破綻したのは、不思議な感じもしてしまいます。


 おそらく、お客の求めていたものを自らかなぐり捨てて来たこともあるのではないでしょうか。


 他社の料金の3割増しでも乗ってくれる人はたくさんいたはずですが、それに見合った価値を提供しなければ何のためのブランドかは分からなくなります。


 経営の問題点。


 もう株主そっちのけで、労組から退職者から政治家、官僚とよってたかって食い物にしていた感があります。


 とはいえ、なあなあで国がなんとかするだろうと寄りかかっていた株主も悪いのですが。


 バフェットじいじのいう1人の長期不在株主は、日航では完全無視だったようです。


 買ってからというもの、不快な気分は続きましたが、まあそれでも人の好さそうなCEOが頑張っているのだからと我慢してきました。


 しかし、退職者年金の問題が出るに及んで、もはやこれまでと縁切りしました。


 赤字を出そうが、株価が下がろうが、気持ちよく保有できる企業はあります。


 しかし、日航は保有していて気分悪かったです。


 ちなみにバフェットじいじは、自分が気持ちよく保有できる企業の株を長い長い期間持ち続けなさいと言っています。







参考:直近の日航の業績(連結、単位:100万円)


      売上高      営業利益    経常利益    利益
04・3  1931742  ▲67645  ▲71938  ▲88619
05・3  2129876   56149   69805   30096
06・3  2199385  ▲26834  ▲41608  ▲47243
07・3  2301915   22917   20576  ▲16267
08・3  2230416   90013   69817   16921
09・3  1951158  ▲50884  ▲82177  ▲63194


      1株益      1株配
04・3  ▲45・2    0
05・3   15・2    4
06・3  ▲23・2    0
07・3  ▲ 6・5    0
08・3    6・2    0
09・3  ▲25・5    0


 なお、2010年春号の四季報予想では、2010年3月期も2011年3月期も赤字予想。


 日航の株価がこの業績でも高い値段を維持していたのは、株主優待の割引券が影響していたという話も読みました。


 優待もリターンの1つであり、これを狙って投資をするのはいいのですが、事業がどういったものであるのかはよく考えておくべきでしょう。


 日航のケースから、優待は株価の形成に歪みを生じさせるとも考えられ、特に誰もが買いたい好景気時に割高な価格となっている可能性も考えられます。







<覚えておきたい偉大な先人のお言葉>


 人間なら誰しも現実が見えるわけではない。多くの人は自分が見たいと思う現実しか見ない。


 ユリウス・カエサル