株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 激しい暴落に見舞われて、初めて理解できることもあります。


 今回は、うちのバフェットじいじのお師匠さんのグレアム大師匠(あ~、ややこしい)の教えの中で、バフェットじいじが最も重要な概念と仰っている「安全余裕度」について考えてみたいと思います。


 人々の熱狂に押し上げられた株価バブルが生じていなければ、私たちは株式市場を通じて相応の値段で企業を買うことができます。


 しかし、現在のような危機で人々が恐怖にとらわれると、株価バブルとは逆の現象もおきます。


 実体経済にまで恐怖が波及してくると、需要急減や金の目詰まりで誰かさんの企業のように破綻してしまう事態も生じます。


 こういった事態に備えて考えておくべきなのが、安全余裕度という概念ではないかと思います。


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 それでは、具体的にどのようなことを考えておくべきなのでしょうか。


 金太郎氏は今回の金融危機で我が身に降り掛かってきた災厄を考えつつ、以下の点を考えておくべきではないかと思っています。


 1つ目は、事業継続の安全性。


 事業継続の安全性とは、要するに保有して買増ししていける企業体かどうかというお話です。


 これが分からないときは、やたらと銘柄を分散することになります。


 ですが、これは分散投資の問題点を抱え込むことになります。


 恐らく、長期的な収益性にもダメージとなります。(誰かさんがやったように、潰れる企業体にわざわざ投資してしまうことになりかねません。w)


 最も簡単に投資を行う方法は、時価総額(企業規模)が大きく、財務内容のよい企業体で、経営成績が確実に平均を上回るであろう優良企業を中心に、魅力的な値付けのされた5~10社ほどを選んで長期保有することであろうと思います。


 少なくとも自分が事業のなにがしかを理解している、という点も考えてみると良いと思います。


 もちろん、確信が持てるなら企業規模が小さくても全然構わないと思いますが、それは少し難しい投資法ではないかと考えています。


 株価がどうなるかを横に置いた場合、長期間に渡る経営成績が確実に名だたる大企業を上回るという、困難なハードルを乗り越える必要があるからです。


 仮にこのハードルを乗り越える優秀企業を見つけられたとしても、その企業が相応の値段で買えるかという問題が残ります。


 今回のような大暴落ですと買えた可能性は高いですが、普段は値段も高止まりしているのではないでしょうか。


 なお、金太郎さんの失敗などから省みますと、よく知らない、小規模ないし新興の事業(多くは景気変動の影響の直撃を受ける)を、景気の良い時に高値で買った場合に、死兆星が頭上に輝きます。


 世紀末の覇者・ラオウと戦えるのは名誉なことですが、ほぼ確実に討死します。ww


 従って、この条件をなるべく避けることが、素人の個人投資家にとって大事なことではないかと考えます。


 以上から、まずはトピックスコア30や日経平均採用225銘柄など、主力株を見回してみるとよいでしょう。


 良い答えが見つかると思います。


 その上で、時価総額の大きい方から小さい方へと、徐々に守備範囲を広げていくのです。


(ちなみに、金太郎さんはこれとは逆をやって、たくさん失敗をしてきました。討死した部隊もあり、残存部隊も今もポートフォリオの上の方で燦然と含み損の輝きを放っております。買っても買っても、ち~っとも含み損が減りゃあせんッ!ww)


 守備範囲を拡げていく過程では、今自分が保有する中で一番良いと思う企業と比べてどうか、という視点で見ていくと良いと思います。


(平均や指数に負ける時期もあると思いますが、株価は市場の評価であって自分の評価が変わらなければ問題はないでしょう。むしろ、自分の企業が割安に放置されていると考えるべきです。)







 2つ目が、株価が高くないという意味の安全性です。


 これは、自分なりの投資基準を持てばいいのですが、基本的にこういった基準を意識しておくといいのではないかと思っています。


 つまり、予定する保有期間(例えば10年)経過後、最も安全な金融資産(例えば10年国債)を保有した場合と比較して、最低限その成績を上回っているという確信の持てる価格ということです。


 利回りの低い日本国債ですと何でもありの感がありますが、世界標準で考えると現在の基軸通貨はドルですから、アメリカ長期国債の利回りが良い基準になるかと思います。


 この利回りを、投資対象とする株式の資本効率や益回り(PERの逆数)と比較して、相応の値付けといえるかどうかを見ます。


 なお、中世イタリアのヴェネツィア政府の債券(当時のヨーロッパで最も安全とされていた)が5%の利回りということですし、今は下がっていますがアメリカの国債も5%程度が平均らしいので、益回り5%(PER20倍)というのが1つの目安になると思います。


(もう少し言えば、いつの時代も経済成長にあわせて、これくらいの率でリスクヘッジができるような形でインフレが進行していくということなのかなと思っています。)


 ここでは、15%程度の資本効率を達成可能な企業を益回り5%以上(PER20倍以下)で手に入れるという一応の基準をおいてみることにします。


(PBRは達成可能な資本効率の高低によって、基準が変わってきます。資本効率が15%ですと、PBRは3倍以下ということになりますね。無論、資本効率はこれより低くても構わないです。安くなっているという確信を「自分が」持てる企業であることの方が、見かけの数字よりもよっぽど重要だからです。達成可能な資本効率をいくらに見積もるかについては、実績の他に各会社の目標値なども参考になります。例えば、好調のファーストリテイリングは20%を目標に掲げているようです。実績でもこれに近いものを叩き出していたと思います。他に、今覚えているところでは、オムロンや住友電工が10%、クラレが7%程度を目標にしていたと思います。なお、基準となる1株純資産も1株利益もROEも、数字は状況に応じて移り変わります。ここで重要なのは、自分の値付けに対して、そこから下がった場合に自分が「安くなっているだけだ」と考えられるどうかです。)







 さらに、半値になっても手放すなというバフェットじいじのアドバイスから考えますと、半値になって売ろうとするその先にいるのは、バフェットじいじも含めた長期投資家ということになります。


 ここから察するに、安全余裕度を考えた投資というのは、相応の値段からさらに半値下あたりを狙っておくとよいのではないかと思います。


 資本効率15%の企業を益回り5%で買うとすれば、これは株価純資産倍率3倍ということになりますが、そのような企業体をできれば株価純資産倍率1・5倍以下で手に入れてやれということになります。


(単純に株価で半値下というのは、あまりお勧めできません。異常に高くなった株価の半値下を買った場合、それでも相応の値段からかけ離れている可能性も大きいからです。例えば、資本効率が10%程度の企業が成長性を過大評価されてPBRで10倍、PERで100倍まで買い上げられたとします。半値でもなおPBRで5倍、PERで50倍です。これは、資本効率がいずれ30%近い数字を叩き出すという確信が得られて、初めて納得できる価格ではないでしょうか。その確信が持てない限り、半値になってもまだ買っていい価格とは言えないと思うのです。利益の先食いをしてしまっていそうな銘柄は、極力避けるということが大事だと思います。)


 ここでは、景気に対する影響の多寡も考慮しておくと良いのでしょう。


 つまり、影響を受けやすい景気敏感株なら、安全余裕度を少し慎重に見積もっておく用心深さが必要だということです。


 逆に、影響を受けにくいディフェンシブ株では、安全余裕度を慎重に見積もりすぎると、いつまで待っても買いのチャンスがこないなんてなことになりかねません。


 このように安全余裕度を考慮した額まで下がってこない場合は、持たざるリスク(長期的なインフレリスク)を負うことになります。


(なお、インフレリスクの回避に株式や不動産が良いと言っても、それは現在の価格との関係であって、異常な高値で買ったのでは何にもなりません。逆に、インフレ期には利回りが上がりますから、固定利回りで寝かせない限り預金や債券でも十分リスクの回避は可能です。つまり、株式や不動産のような資産は、値が下がって絶対に安いと思える時に買っていくことが大事であって、インフレになって価格が上がってからリスクヘッジだといって買うのは、少し違うのだろうと思います。)


 バフェットじいじが、「良い事業をフェアな値段で買いなさい」と仰っているのも、こういうところにあるのではないでしょうか。


(そもそも「フェアな値段」であっても、高い資本効率を要求することで、安全余裕度の観点は、ある程度組み込まれているのではないかと思います。資本効率5%程度がやっとの企業をPBR1倍で買うのと、20%を達成していける企業をPBR4倍で買うのと、どちらが良いでしょうか。同じ益回り5%(PER20倍)でも、そこには大きな価値の隔たりがあると考えます。無論、高い資本効率を達成できる企業体を低PBRで手に入れるのが、最も良いのでしょうが。)


 長期的ポートフォリオの構築において、まずは記念すべき最初の購入をフェアな値段で行っておいて、下がってヒキガエルの値段になれば強欲に買い増していけばいいのではないかと思います。


 買い増して取得単価を引き下げた上で、またまたフェアな値段になれば、ある程度の利益確定売りをしつつ、次の値下りを待つってな具合です。







 なお、最後に必要なのが「現金保有」の安全余裕度です。


 せっかくの値下り時に買えないのでは、とっても残念な思いをしてしまいます。


(値下りしたのを安値買いのチャンスと喜べないような投資対象に投資しているなら、そのような投資は止めておいた方がよいと考えます。「縁切り」を考えるべきでしょう。)


 ポートフォリオを構築した上で、普段から配当や預貯金などを蓄えつつ、値下りによる企業買収の機会を虎視眈々と狙っていけばいいのではないでしょうか。


 特に、好景気の時は、現金保有比率を多めにしておくことが大事なのでしょう。


 好景気の時は配当も増額されているはずなので、自然と現金保有比率が増えると思いますが、そこで強欲になって上値を追わず、場合によっては利益確定売りなどもこなして、将来の不確実性に備えて積み増しておく用心が必要だろうと思います。


 不確実な投資の世界で、そうそううまくは運ばないかもしれませんが、今のところ金太郎氏は失敗体験などから「安全余裕度」について、このようなイメージを持っています。







(危機が起こった後でこんな記事をアップしても仕方ないのですが、将来に備えるという意味で参考にしてみて下さい。)







<ディスカウントキャッシュフロー法による算出>


 最も正しい企業価値を算出できるとされるのが、ディスカウントキャッシュフロー法です。


 上に示した値付けは大雑把なものですが、企業の稼ぎ出すキャッシュフローを予測し、それを適正利率で割り引くと、より正確な値付けができると思います。


 といっても、上の値付けのやり方でも、既にある程度は、ディスカウントキャッシュフロー法を考慮したものになっていると思います。


 暇な人は、今後10年程度の売上高の予測、売上高営業利益率などを参考にした利益の予測、資本の増え方や資本効率を考慮した利益の予測などを元に、将来のキャッシュフローを大雑把に把握し、それを割り引いて適正株価を算出してみることもできますね。


 ただ、これはあまり大きな意味を持たないのではないかと思います。


 大切なのは、正確な株価を算出できることではなく、相応の値付けを理解し、下がった場合に貪欲に買っていけることの方だからです。


 バフェットじいじが賢明な投資家で示したグレアム・ドッド村の優秀な投資家達は、決して脳みそが人より抜群によくて正確に数字を弾き出せるから高い投資成績を残しているわけではありません。


 それぞれが、ここと思える企業を、売られて本来的な価値を下回っている時に買っているだけの話だと思います。





<付記>


 「安全域」「安全余裕度」は、「予定の保有期間経過後に適正な投資利回りを確保できる確信が得られる価格でないと買ってはいけない」という教えです。


 とは言われてみても、なかなか値付けがうまくいかないから苦労するわけで、「確信を持って買ってはみたけど……。」という結果もしばしばです。


 値付けの正しさもさることながら、買いたいとき(株価が鋭く落ち込んだとき)に買えるための現金を、日経平均やトピックスの水準に合わせて確保する視点も大事ではないかなと思います。


 例えば、日経平均○○円レベルでは、さらなる値下りに合わせて現金保有比率を○○%にしておこうとか、日経平均が○○円なら、株式に○○%の資金配分をしよう、といったルールです。


 バフェットCEOの「ダウ10000ドルなら債券よりも株式を好む」という言葉からも、ダウが7000ドルに急落したときの「ここから下がるなら財産の全てを株式にしてもよいくらいだ」といった言葉からも、どのレベルでどの程度の資金配分をしていくかは、安全域を考える上で重要な視点だと思います。