株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 分散投資シリーズ第5回は、なぜ平均的なアクティブファンドがインデックスに勝てないのかということについて、私のチョボイ経験からですが考えてみたいと思います。


 これについては、「運用結果がそうなっているから」という答えの他、手数料くらいしか、それらしき理由を探すのは難しいと思います。


(実際、経済学者さんの本など読んでみても、そういう答えしか見当たりません。例えば、マンキュー経済学にも「結果はそうなっている」といった説明がされていたと思います。さすがにインデックスの生みの親、ジョン・ボーグル氏は鋭い視点を呈示していました。これについては後述します。)


 私自身は、今の考え方について確信に近いものを持っていますが、これを読んで下さる方が同じ考えを持つかどうかは別の話ですので、あしからず。


 自らの信じるところに従って投資するのがベストだと思います。


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<なぜ平均的なアクティブファンドがインデックスに勝てないのか?>


 私たちの周りには様々な市場が散在しており、各企業はその市場を利用して、資本を元手に財やサービスに付加価値を付けて利益を拡大していきます。


 私たちが株式市場を通じて株式を買うということは、この企業体を保有するということに他なりません。


 ここで売ることを前提にして株式を買うと、どうしても売り時ということを考えないといけなくなります。


 つまり、株式市場で売買して一儲けしようといった考え方ですが、これの意味するところというのは、自らが売買の主体として株式市場で「手数料を払いながら商売をする」ということになります。


 安く買って(仕入れて)高く売り抜ける(販売する)だけなのですが、短中期的には株価は予測不可能なので、当然損失も出します。


 うまく売り抜けたつもりが、どんどん上がっていったなんてこともしばしばです。


 こうして一進一退を繰り返しながら儲けたお金が、その人の利益となるわけですが、どっこい企業群も現実の社会において凄まじいペースでお金を稼ぎます。


 これが長期的には株価に反映されてきますし、配当金の積み増し、その再投資と重なるとえらいことになります。


 つまり、短中期の売買で値幅を抜いてやろうという行為は、長期的に見ると、企業群と売買手数料のハンディを背負いながら、商売でどちらが利益をたくさん出せるかの競争をしているようなものです。


 長期的な経済拡大というプラスサムゲームで商売するプロ集団を相手にして、手数料を払いながら確実な予測が不可能な株価を頼りに、ゼロないしマイナスサムゲームで勝負を挑むわけですから、平均的な企業を相手にしたとしても、かなり大変な行為だと思います。


 当然、長期的には、ほとんどの人が負けます。


(長期といっても、どのくらいの期間を見るかで変わりますが、ともあれ、こんなに分の悪い戦いで、大切な時間を削って市場に挑んでいる方には頭が下がります。間違いなく商売下手の私には、とても真似できません。)







 これをファンドについて見てみましょう。


 まずは、ファンドというものの性質を考える必要があります。


 株式を保有するということは、企業体を保有することですから、ファンドはその企業の集合体。


 すなわち、総合持株会社のようなものです。


(最近よくみる○○ホールディングスと同じ。経営権を掌握していない点は違いますが、議決権を通じて基本的経営に参加はできます。)


 ファンドマネージャーは、一般の会社でいうところのCEOです。


 何をやるかというと、一般会社のCEOと同じく資本(集めた資金)の配分です。


 成長性のある分野に集めた資金を投じ、リターンを得るということです。


 さて、ここで資金の配分をしょっちゅう変えるとどうなるか。


 これまた株式市場で手数料を払いながら売買で稼ぐことを意味し、それが長期的に見ると非常に大変な行為であることは同じです。


(言ってみれば、株式の売買で稼ぐというありきたりの事業で、強力な同業他社が多数。負債を抱えてやったら、ほら、破綻企業の条件にピッタリ……。)


 多くの資金を扱わなければならないファンドでは、売買が市場に与える影響も大きく、個人以上に大変なはずです。


(例えば、買いたい銘柄があっても、一気に資金を投じると株価を押し上げてしまうでしょう。売りたい時も同じです。自ら市場の歪みを作り出してしまうことになりかねません。逆に言うと、歪みを生じさせないためには………。)


 つまるところ、資本構成(組入銘柄)の変更、即ち売買は少なければ少ないほど、良いことになります。


 ところが、ここに一つのジレンマが生じます。


 売買で値ざやを抜くのがうまいからファンドマネージャーにお金を預けていると、一般の投資家が信じていることです。


 「いや~、ただ持ってるだけの方が長期的には確実に利益が出るんすよ~、えへへ。」なんてことをうっかり言おうものなら、「じゃあ、高い手数料払ってまでカネ預ける必要なんてねぇじゃん。」という話になります。


 こうして、大抵のアクティブファンドのファンドマネージャーは、プロの存在意義をかけて、頻繁に組入銘柄を変えて値幅を取りにいく必要に迫られます。


(まあ、ここまで考えてやってるプロもいないかもしれませんが。w)


 手数料分以上は指数に勝たないといけないので、これも値幅を抜こうとする誘因になるでしょう。







 さらに悪いことに、一般のアクティブファンドでは、ファンド購入資金に群がる多数のぶら下がり会社のために、販売手数料に加えて毎年毎年安くない信託報酬手数料の負担もかかってきます。


 これは、インデックス派の方が見抜いていらっしゃる通りだと思います。







 もう1つ悪い要因があります。


 組入銘柄の数と分散方法です。


 各セクターに程よく分散された60程度の銘柄で、既にインデックスとほとんど同様の値動きをしてしまうのです。


 ダウ工業平均に至ると、たったの30種で指数を構成しています。


 つまり、代表的な各セクターの銘柄30種を組み入れるだけで、ほとんど市場と同じポートフォリオが完成してしまうのです。


 これの意味するところが何かというと、分散された30種以上の銘柄を組み入れている場合、インデックスとの差別化を図りにくいということです。


 ここにもジレンマが生じます。


 優秀な投資家の教えに従い、ファンドマネージャーが長期的な確信を抱いた5~10社の企業に、売買しないという方針でファンドを組成したとします。


 誰がわざわざ高い手数料を毎年払って、そんなファンドを買うでしょうか?


 買える人は、自分でその5~10社を持ってればいいじゃん。


 加えて、優秀な投資家と異なり、一般の投資家は投資の本質(企業を所有するということの意味)が分かっていないので、多くの銘柄に分散されるほどリスクが低下しているように感じます。


(本当はリスクが増えているにもかかわらず。)


 このような長期集中投資型のファンドは、この意味からも買手のいないファンドとなる可能性が高いでしょう。


(一般投資家の安心感を汲み取るには、相応の数の銘柄を選択する必要があるでしょう。それがどのくらいかは分かりませんが、昔の私なら30より少ないと確実に腰が引けたと思います。現実問題として、50を下回るのはかなり厳しいのではないでしょうか。)


 販売する側としては、売れないものを売るわけにはいきません。


 この点については、バフェットおじさんに見込まれたルー・シンプソン氏の話が参考になります。


 彼はこの手の長期投資がやりたかったのですが、それを許してくれるファンドの組成が難しかったのです。


 そこでシンプソン氏は、バークシャーの面接に出向いたわけですが、何人かの希望者と面接したバフェットおじさんは、即断で「あいつに決めた!」と言ったそうです。


 以来、シンプソン氏は保険会社のポートフォリオ管理を引き受け、バフェットおじさんにも比肩しうる投資成績を叩き出しているようです。


 このお話が示すように、現実面としては、最大の成果をあげるであろうアクティブファンドは販売されません。


(因みに、バフェットおじさんは、ファンドを買えとは一言も仰っていません。澤上さんも、自分だったらトヨタ自動車など優良銘柄を買って保有し、株価が噴き上げたら売り上がると仰ってます。つまり、ファンド運用では購入者の安心感とファンド組成の理念を優先し、自分なら採るであろう最高の投資戦略を採っていないのです。)









 まだ悪いことがあります。


 ファンド組成の際に、買ってくれる人間のほとんどが、短中期で値幅を抜きたい投資家さんばかりだということです。


 この種の目先の損得で動く人たちを相手に、ファンドが組成されてしまうという現実はあると思います。


 結果として、アクティブファンドの大半は、こういった人たちから手数料をかすめ取るための集金マシーンとして組成されます。


 皆が儲かる仕組みではなくて、売りやすく組成し、販売サイドが儲けるために組成されるのです。


 結果、組成されるものは、その時々の流行に乗ったものや儲かりそうといった類のファンドばかりになります。


(最近でいうところのS○Iファンドとか、環○ファンドなんてのがそうですよ。)


 腰の座った投資家で構成されていないので、いったん潮が引くと誰も残りたがりません。


 成績が落ちると、高い手数料の意味もなくなります。


 良い時にやってきて悪い時に去るという、投資で絶対にやってはいけない行動をとる誘因が大きいのです。


 これではファンドマネージャーも大変です。


 本来、仕込み時のはずなのに、ファンド資産はどんどん流出。


 解約に備えた現金化で、成績はさらに悪化するかもしれません。


 とても腰を落ち着けて投資なんてしてらんねぇ。







 こうした諸々の要因の結果、平均的なアクティブファンドは長期的に、ただ平均的な企業を保有しているだけのインデックスにさえ勝てないという情けない事態が生じます。


(短期的には優秀な成績を収めるアクティブファンドは、たくさんあるでしょう。が、しかし、長期的にどうかとなると甚だ怪しいです。因みに、新聞で取り上げられるファンドの成績は、3年くらいで比較評価されています。この程度の期間で比べるのではお話になりませんが、逆にこれ以上の期間での評価となると、一般人は不確実性が高いと考えるので取り上げられることはあまりありません。要するに、3年程度で運良く増えたらいいな式の投資しかしない人が大半なので、こうなっちゃうのでしょう。この程度の期間で過去の成績を云々してみても、それこそほとんど意味がないと思うのですが。)


 そう、私が考える平均的なアクティブファンドがインデックスに勝てない最大の理由は、ファンドを買おうとする人間が平均以下の投資家のため、平均以下のファンド設計しかできないからです。


(シンプソン氏のお言葉を思い出して下さい。投資家としての資質や忍耐力に欠けているため、平均的な投資家には成功できるだけの資質が備わっていないことを。インデックス派の方は、忍耐力という点だけとるなら間違いなく一流の投資家なのです。)







 そしてそして、以上の条件をクリアし市場を打ち負かしたファンドマネージャーも、さらなる難題に直面します。


 奇しくもジョン・ボーグルとウォーレン・バフェットという賢人二人が指摘している難題です。


 人気が出て運用資金が増えると、運用成績も市場平均に限りなく近付いていく!


 そして最終的には、手数料の差額だけインデックスに追いつかれ、追い越されていく!


 以前、書いた通り、極端な話ですが、時価総額10兆円の株式市場に10兆円の資産を投資しようとした場合、どんなに頑張っても市場には勝てないのです。


 運用資産額が増えれば増えるほど、この状況に近付いていくのです。


 素晴らしい企業だけを買っていき、平均的な企業は無視したとしても、手許資金がだぶつけば、それは債券や預金での運用となります。


 ところが債券や預金では、長期的には平均的な企業にも勝てないのです。


 平均が最高というのは、この意味においてのみ正しいと言えます。


 が、しかし、この状態になるには、かなり高いハードルをいくつも乗り越えなくてはならないでしょう。


 因みに、運用資産が大きくなってしまった素晴らしい投資会社が、平均に近付く状態を回避する手もあります。


 優秀な企業を丸ごと買って傘下企業にしてしまい、株式市場から引き離す!


 素晴らしいリターンを生む事業を、他の人と共有せず独占するのです。


(できれば上場される前、上場されている場合は現在のように買収額を吊り上げる相手がいない間に。)


 そう、これこそバークシャー社とバフェットおじさんが、市場を通じての株式保有と同時進行させている究極の投資法です。


 究極の株式投資の姿がここにあります。どこと勝負しても利益獲得において負けることなき優秀企業の大株主になることです。


(保有比率は100%に近い程よいです。)


 そして、そこから上がる利益を株式市場や更なる買収、そして戦略的成長分野へ再投資するのです。


 ゲームに勝ちたければ、負けない戦略を採れということです。


 投資で理屈を考えれば考える程、バフェットおじさんの運用にたどり着きます。


 もっともっと学びたいので長生きして欲しいのですが。


 そして、もう1つは購入者が負担する手数料をなくすか、インデックス以下に削ることです。


 この点もバークシャーを見ると良いと思います。


 表向きは投資会社ですが、実態は複数の企業からなるコングロマリット。


 ここからも、投資信託などで複数の企業の株を保有することは、複数の企業からなるコングロマリットを保有しているのと同じなんだよ、というのが分かると思います。


 そして、その運営費たるやボスのバフェットCEOの給料が年間1000万円程度で、アドバイザー役のビル・ゲイツ氏をその辺のサラリーマンの小遣い程度で呼んできています。


 コスト意識がやたらと高いことが分かります。


(ゲイツ氏はテレビ番組で、取締役会に出るのに飛行機でバークシャー社にくると足が出るってぼやいてましたよ。w)


 バークシャーを見ると、投資の本質が分かります。


 バフェットおじさんと仲間達が、誰にも負けないために知恵の限りを絞り創り上げた投資会社の最高傑作だと思います。


 彼らは「お金よりも投資が好き」だったから、ここまでの会社を創り上げることができたのでしょう。







 余談になりますが、以前に書いた記事で、優秀な長期投資型ファンドの成績というのがあったと思います。


 日経新聞に出ていた記事を見て書いたものですが、その時の1位はT&Dのアクシア(愛称です)、2位が私も保有しているさわかみファンド。(参考記事


 1位のアクシアは、組入銘柄数を50程度に絞り、しかも投資対象セクターも絞り込んでいました。


 確か、金融と商社への組入れが多かったと記憶しています。


(これは経済回復の恩恵を受けるという点で、非常に優れた戦略だったと思います。金融と商社は経済の隅々に関わるセクターだからです。おまけに商社は資源高の恩恵もフルに生かせました。)


 これに対して、さわかみファンドは300以上の銘柄で、製造業を中心にしていました。


(これも世界的な視点からすると、素晴らしい投資戦略だと思っています。なぜなら、「世界的にみて」日本の製造業のブランド力、技術力は、少なくとも平均以上と思いますし、株主への利益還元を示す資本効率も今まさに上昇傾向にあるからです。また、円資産の運用ということを考えた場合、為替リスクを取って外国株を買うのは円高の時ですから、円安時に日本株100%の運用ということも納得できます。もっとも、今後円高が進行した場合に、外国株が組み込まれる可能性はありますが。)


 同じ長期投資型ファンドで下値を拾っていくスタイルだったのに、T&Dのアクシアが投資成績で上回っていたのには、それなりの理由があったと思っています。


(なお、現在、さわかみファンドは銘柄数の絞り込みを行っており、270社程度まで減少しています。)







 さて、以上ですが、ここには個別株投資に踏み切れないが、インデックスに興味を感じない方が、「長期間で」市場平均を上回る成績を残す素晴らしいアクティブファンドを探すヒントも書いてきたつもりです。


(いつの期間をとってもインデックスに勝っているというのは、ほとんど不可能です。ここ1年、電力株だけを抱えている人が「市場に勝った!」と雄叫びをあげているのを見て、あなたはどう思うでしょうか?インデックスが優秀な長期投資家に勝っている時というのも、似たようなものだと思っています。)


 まあ、ぶっちゃけて言えば、負ける理由の少ないファンドを探せってことですね。


 長期保有型、売られている下値を拾う、特定の有望企業に集中(少ない程よい)、ファンド仲間がファンドの理念を共有、暴落時に解約による資産流出が少ない、低い手数料、ファンド資産が巨大でない、ファンドの投資対象が幅広い、ファンド運用者がお金よりも投資が好き、などなど。


 そしてそして、最も大事なことは、「自分自身が」同じ投資スタイルを採るということです。


 ファンドの基準価額が値下りしている時に、ビビって凍り付かずに、普段以上のお金を投資しておくのです。


 例えば、普段4対1で預金とファンドにお金を振り向けている場合、暴落している現在のような時は、人気の高い預金への「投機」を避け、ファンドへの「投資」比率を増やすということです。


 これはアクティブ派、インデックス派、どちらも同じでしょう。


 さらに言えば、保有ファンドに何らかの確信を抱いているアクティブ派にとって、保有ファンドがインデックスに負けているときというのは、正に「価値と価格」がズレている時に他なりません。


 どういう行動を取るべきかは、改めて言う必要もないことでしょう。







 毎回毎回、長い記事ですいません。


 次回は、「それでもやっぱり分散投資!」です。www