株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 パッシブ運用(インデックスファンドやETF)について、不可思議に感じていることを書きます。


 これは実際に購入して中身を見て、それで自分でもありきたりの分散をしてみて、各会社の経営や事業を見て感じていることです。


 ここ読んでもらって、実際にそうだと思っても、自分にとっての最適な投資法がパッシブ運用だということだって十二分にありえますから、その点は注意して読んでもらいたいです。


 実際、投資って言われてもどうしたらいいのか分からないって人には、私自身、パッシブ運用を勧めてしまいます。w


 それは何故かについても、後で書きます。







<いつでも何でも買えばいいのか?>


 ほとんど利益を生まない企業も優秀な企業も区別なしに、なんでも買って本当にいいのでしょうか?


 不景気の時に底堅いディフェンシブ銘柄を買う必要があるのでしょうか?


 景気が良くて皆が強欲になっている時に、景気敏感株を買うのが正しいのでしょうか?


 人気が出て明らかに割高と思われる銘柄でも、やっぱり将来的に正しい値付けがされていると言えるのでしょうか?







<平均が最高?>


 ときに長期間で最も高い成績を収めるのはインデックスだ、なんてな奇怪な分析を見かけるのですが、平均が最高という論理がどうにもこうにも私の悪い頭では理解できません。


 野球で例えると、イチロー選手よりも平均的な選手の方が、長期間での成績が良いですよって言われている気がしてなりません。


 それから、私だったら最高の野球チームを作るのに、平均的な選手を9人欲しいとは思いません。


 最高の選手を9人集めたいと思います。


 イチロー選手を1番に指名した上で、少々調子が悪くても我慢して応援します。


 恐らく、バフェットおじさんがやってることも、こういうことだと思います。

(おじさんは売買で時々資本構成を変えていますから、売買するからリターンが大きくなると思うかもしれません。売買せずに保有しているだけでも一緒ですよ。値幅を抜きたい人たちや何も考えずに投資する人たちが魅力的な価値と価格の差を提供するから、もったいなくて資本構成を変えているだけでしょう。資本構成を変えることを禁止しても、多分勝っちゃいます。)







<なぜにグレアム・ドッド村の投資家を無視するのか?>


 インデックスの有効性を語る際に、よく平均的なアクティブファンドはインデックスに勝てないという話が出てきます。


(この理由については、また後で思うところを書きます。)


 しかし、この話を好んで用いる経済学者さんは、必ずと言っていいほど、バフェットおじさんが所属するグレアム・ドッド村の優秀な投資家を無視します。


 彼らの投資手法を見ることなく、投資対象の企業と株価の関係を見ることなく、なぜか優秀な成績を偶然、あるいは、例外的事象として処理してしまいます。


 これは学者さんに特有の性癖なのですが、彼らはまず仮説を立てた上で、その仮説の実証に「有効な事例のみ」を集める傾向があります。


 この間、仮説の実証に当てはまらない事例は、例外的として無視するのです。


 その上で、「ほらご覧なさい。私の仮説は正しいでしょう。」と実に説得的に論陣を張るのです。


 このようなやり方で得られる結論が、学問的に正しいかどうか、真実を突いているのかどうかは、少し立ち止まって考える必要があると思います。







<本当に正しいのか、効率的市場仮説>


 効率的市場仮説は、恐らく大抵の局面では正しく機能していると思います。

(逆に言えば、私たちは大抵の場合、相応の値付けで企業を買収して家計に連結できることになります。つまり買った値段を後悔する必要なんてないということです。)


 しかし、恐怖心理が蔓延する現在のような状況で、果たして正確に企業の将来業績を見積もっているでしょうか?


 多分、近視眼的なものに止まっている可能性の方が高いでしょう。


 仮に現在ついた値段が正しいとしても、「将来的には」明らかにおかしなものも含まれていると思います。


 逆もまたしかり。


 この仮説では、会社の将来価値を遥か先まで織り込んでしまった株価バブルは見抜けません。


 また、バフェットおじさんが仰っているように、効率的市場仮説ではバービー人形を作る企業とフラフープを作る企業の区別ができません。


 もちろん、トヨタ自動車とGMの違いも分かりません。


 東電とエンロンの違いも分からないでしょう。


 逆にアメリカの優秀な企業と非効率な日本企業の区別も難しいと思います。


 効率的市場仮説の功績は、人々を投機的売買から会社の長期保有による、事業が生み出す価値の恩恵を与えるところへと導いたことにあると思っています。


 投資の基本中の基本を、誰でも手軽に実行できるようになったということです。


 基本だから、ちゃんと応用も考えないといけないはずですよね。


 (付記)
 え〜、甚だ遺憾ではございますが、東電とエンロンの例えが……。w トヨタも一時期、ヒヤヒヤものでしたが、なんとか説得力を取り戻してくれました。東電は破綻していないというだけで、ほとんどそれに近い状態になってしまい、きちんとやっているのだろうという信頼がものの見事にひっくり返ってしまいました。東電のところは、中部電力に代えて読むか、あまり参考にしないようにしてください。エンロンのように、故意に不法行為を犯した挙げ句に破綻して消え去ったわけではなく、言いたいことは分かっていただけると思います。スミマセン。







<価格の変動幅が大きいからリスクが高くてリターンも大きい?>


 株価だけ見れば、一般にそういう傾向があるのかもしれません。


 例えば、破綻の危機に瀕した企業の株価は紙切れ同然となりますが、破綻の危機が去れば一気に株価は戻りますから、この間の株価だけを見て変動をうまく捉えて取引すれば、リターンも大きいのかもしれないとは思います。


 しかし、50ドルが5ドルまで売り叩かれて50ドルに戻ったからと言って、リターンが大きいと言えるのでしょうか?


 そうではなくて、魅力的な事業を展開する優秀な企業だから利益の積み増しがあり、それに対する適正な評価があって長期間でのリターンが大きくなるのでは?


 ありきたりの事業を展開する資本コスト以下の利益しか生まない事業だから、リスクが高いのでは?


 要するに、パッシブ運用と呼ばれるものの本質は、この手法を勧める人が大して有効でないと批判するチャート分析などの手法と変わりはなく、やっぱり株価だけしか見ていないのです。


 中身を見ないこの手法が極めて危険なやり方であることは、最近のサブプライム問題でも分かると思います。


 色んな債券を集めてますから、リスクが分散されてリターンも高くなっていますよ。


 このような理屈を信じることができるでしょうか。


 出資しても返ってこないようなものを組み込んではいけません。


 この手法とパッシブ運用の手法に、同じような胡散臭さを感じるのは私だけでしょうか。







<高いコスト>


 インデックスやETFは手数料も高いです。


 高い手数料というと、「え?」と思われる方もいるでしょう。


 確かに、アクティブファンドとの単純な比較においては安いです。


 しかし、指数に連動するように一定の比率で長期間保有するという、一度仕組みさえ整えたら「誰にでもできる作業」に対する報酬としては、今の手数料でも高いと思います。


 企業評価は市場に任せているから、株主説明会に出席する必要はない。


 会社訪問もしなくてよい。


 財務分析も無駄なことなので無視。


 こんな仕事に対して払う報酬は、せいぜいがとこ投信を運用している人に対する高過ぎない人件費と運営費、それから運用会社のささやかな儲け程度で十分のはずです。


 インデックス派の方は、もっともっと頑強に手数料の値下げを要求するべきでしょう。


 ぶっちゃけ、この手のファンドの妥当な報酬額を考えると、資産総額に対して何%という形でかけるというのもおかしな話かなと思います。


 資産が増えたことに対して、運用している側の能力は関係ないわけですから。


(適切な手数料がいくらかというのは難しいですが、多分、猿のダーツ投げにいくら払いたいかというのが基準の1つとなるでしょう。)


 因みに、私はアクティブファンドのさわかみファンドも保有しています。


 手数料は1%です。


 これでも、コストはインデックスはもちろんETFより格段に安いと思っています。


 どこの世界に毎月2回もクソ真面目に運用レポートを送ってくるファンドがあるのでしょうか?


 きちんと議決権の行使について報告してくるファンドがあるのでしょうか?


 これで投資対象は、外国株式も債券も含まれています。


 手数料は、やってくれる仕事の内容と比較して高い安いを決めるべきです。


 良い仕事に対して払う1%は、ありきたりの仕事に対して払うそれ以下の手数料と比較しても格段に安いと思っています。







<手数料が成績に影響することを知りながら、なぜ手数料を払うのか?>


 手数料が長期間で投資成績に響くことを知りながら、なぜにこの投資手法の支持者が喜々として、全体的に平均的な企業に毎年手数料を払い続けるのか、不思議な気持ちもしています。


 この投資法を支持している方は、志とか理念といったことよりも、自分のお金の方を重視しているはずなのに……。


 平均的な企業を10社ほど選んで保有を続けるのと、どちらがいいんでしょう?

(例えば、旭化成は事業報告書で平均的な成績しか残せていないと反省していましたが………。)


 これに対しては、恐らく、こういう返答が返ってくるのではないかと思います。


 平均的な企業の株価が平均を維持できる保証はないし、思ってもみなかった企業の株価が高騰することだってあるだろう、と。


 前者については、「手数料を払って「いつも平均」と、手数料なしで「長期間で平均」とどちらがいいんでしょう?」、あるいは、「売られた時に大きく買い増すことのできる企業を選択し、それを実行することで長期間でのリターンを平均的なもの以上にできるのでは?」ということを考えてみるといいかもしれません。


 そもそも、平均的と思う企業をわざわざ組み込む必要すらありませんが。


 後者については、その通りで、特にバブルの時にはそういう現象が起きますよね。


 悪い面が覆い隠され、楽観が支配し、本来的には価値のないものまで買い上げられますから。


 でも、価値のないものは、いずれ市場の重力に引かれてしまいます。


 バブルの時にバフェットおじさんの運用が揶揄され、今のような危機になると脚光を浴びるのには、理由があると思います。

(ITバブルの頃のバークシャーの株価を見れば、笑えますよ。傘下企業のCEOの1人は、借金してまでバークシャーを買おうとしたくらいですから。)







<卵は1つのカゴに盛るな?>


 「卵は1つのカゴに盛ってはいけません」という分散投資の考え方があります。


 確かに、その通りなのですが、それは「生卵」と調理済みの「ゆで卵」を見分けられない場合の話。


 (そもそも、割れやすい生卵ならカゴに盛るべきではないのです。)


 調理済みの「ゆで卵」どころか、長い年月を経て磨き抜かれたダイヤであればどうでしょう。


 確かに、そんなものが分かるなら苦労はしません。


 でも、バフェットおじさんの投資対象を見ると、感じることも多いです。


 誰が聞いても知っている優秀な企業に、相応な値付けがされているとき、あるいは、株価が暴落した時に投資しているだけなのです。


 恐らく事業内容も、ほとんどの人がすぐに答えられるのではないでしょうか。


 「あ、あの○○してる会社ね!」ってな具合に。


 確かに、優秀な企業も経営において失敗はします。


 経営環境の激変もあります。


 恐怖心が蔓延して株価がひどく下がる時期もあるでしょう。


 しかし、回復力が半端ではないです。


 これは、「ビジョナリー・カンパニー」という本で指摘されているところです。


 つまるところ、カゴからこぼれ落ちても、ダイヤの価値は変わらないというわけです。


 ならば、そこには非常に分かりやすい価格と価値の差が生じているのではないでしょうか。


 例えば、今のキヤノンや信越化学工業にそれを感じることはできませんか?

(保有企業なら取り上げるのは照れくさいですが、直接保有していない優秀企業なら遠慮なしに取り上げられるので重宝してます、ハイ。w)







<ランダムウォーク?>


 株価が予測不可能な新しい情報を織り込んで酔歩(ランダムウォーク)するということは、過去から未来は分からないということだと思います。


 しかしながら、この前提に立つはずの方が、過去の投資成績を一生懸命研究されて、これはよくない、あれはいいとやっていらっしゃいます。


 それをやるなら、なぜに優秀な投資成績を残してきた企業の分析に集中しないのでしょう?


 なぜに、それらの企業と同じ要素を有し、自分が魅力的と感じる企業を保有しようとしないのでしょう?







 以上のように、パッシブ運用には様々な不思議現象が見てとれます。


 インデックスに出会ってからというもの、魅力を感じる一方で謎が深まるばかりです。


 でも、恐らくは、こういうことだろうとは思っています。


 つまり、パッシブ運用をしている人は「平均」「指数」というものにしか、確信を抱くことができないのです。


 だからこそ平均が最高といった、私の悪い脳みそでは理解不能なアクロバティックな論理まで飛び出すのでしょう。


 仮に、先程あげたキヤノンや信越化学工業を保有していたとしても、「平均」や「指数」にちょっとでも負けた瞬間に、心が落ち着かなくなるのです。(株価しか見ていないので、これはやむを得ないことかもしれませんが。)


 仕方がないので、心を落ち着かせるために平均以下の企業も抱え込む。


 これがパッシブ運用において無意識的に行われている投資の実態ではないでしょうか。


 分散投資に特有の、安心を買うための高い買い物をしている可能性は大いにあると思っています。







 次回は、「なぜ平均的なアクティブファンドがインデックスに勝てないのか」、その次は「それでもやっぱり分散投資」というお題で思うところを書いてみたいと思います。


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続き


<追記>


「ノーベル経済学賞の40年」という本に、効率的市場仮説に関する記述が出ていましたので、引用しておきます。


「しかしこの仮定(注:効率的市場という仮定)は、理性というより信仰が前提だ。株式市場が完全に合理的に機能するためには、情熱、恐怖、高揚感、迷信、パニック、後知恵といった様々な人間の感情に影響されてはならない。
 このように、効率的市場仮説の正しさを疑うべき理由はきちんと存在するのに、ほとんどの金融経済学者はこの問題を無視した。効率的市場という前提がなければ、せっかく考え出した原則や証明や方程式の多くが成り立たないからだ。ブラック=ショールズ方程式も例外ではない。
 効率的市場仮説によれば、株価を変えられるのは新しい情報のみである。しかし実際のところ、株価は重要な新情報とまったく無関係な形で不規則な動きをするときがある。理論と現実の矛盾は、株式市場の大暴落の際に最も顕著な形で表れた。」(上巻136ページ)


「そもそも統計のコンセプトは、人間の経済的な行動にもとづいて考案されているわけではない。コイン投げのように、もっと客観的で機械的なプロセスにもとづいている。コインを10回放り投げたとき表の出る確率は、統計理論の土台となっている確率変数の典型例だ。表の出る確率は統計の原則にほぼ従うので、予測の信頼性も高い。しかし同じやり方は株式市場や消費支出にも通用するだろうか。明らかにコインのようなわけにはいかない。独特のパターンを持つ人間の行動に影響されるからだ。」(下巻206ページ)


 私も著者のトーマス・カリアー氏の御意見にまったく賛成です。


 まあ、これ読んでもらって賛成であったとしても、インデックスファンドやETFを買うというのは十分ありです。w


 効率的市場仮説の学問的成否とパッシブ運用の有効性とは、まったく別の問題だからです。


 仮説が間違っていたとしても、パッシブ運用できちんと相応のリターンを得ることは可能です。