株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 リート破綻の記念すべき第一号が出てしまいました。


 ニューシティ・レジデンス投資法人です。


 ということで、今回も身を削って得たリートについての考えを書いてみたいと思います。(実際に削ったのは、身ではなく資金ですが。w)


 なお、それ程深く勉強したわけでもないので、至らぬところがあるかもしれませんが、あしからず。


 また、書きためていたものを一気に吐き出しますので、記事が長いです、すいません。







 現在、値下がりが激しいリートですが、むしろ今の時期はリートの本来の投資価値、即ち長期の安定的な分配金狙いという意味で買い時であろうと思います。


 欲しい物件を抱えるリートがズルズル下がってきたら、買っておくのもいいでしょう。


 分配金の利回りが10%を軽く超えるものも、次々と出ています。


 但し、以下の点には注意しておくべきだと思います。(注意した結果、買わないという判断になるかもしれませんが。w)







<ミドルリスクミドルリターン?>


 リートのうたい文句が、ミドルリスクミドルリターンです。


 この場合のリスクとは、恐らくお決まりの価格の変動幅のことでしょう。


 どっこい、実際をみると「おい、ハイリスクミドルリターンじゃねぇかよッ!」と叫んでしまいたくなります。


 価格の変動幅、大きい大きい。


 恐らく、取り入れられたばかりの新しい金融商品なところに持ってきて、自国の不動産バブルに乗って日本はまだまだ割安とガンガン買ってきた欧米の投資家が、三流芸人のギャグを聴かされた観客のようにどんびき。


 ついでにサブプライムと同じ証券化商品ということも手伝って、実際の中身が異なることが分かっていても、心理的に「値下がりが恐くてとても買えん!」。


 結果、利回りが魅力的になっても、買い手なかなかつかず。
 orz


 ず~るずるず~るずる下がっていくよ、あれあれあれ!


 よく見てみれば、株式よりハイリスクじゃん……うそつき。


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続き


<リートのリターン>


 株式と異なり、リートのリターンは安定的な賃料収入を前提とした配当性向100%の分配金が基本。


 つまり、賃料収入等から維持・管理費用をさっぴいて得た収益の100%が分配されます。


 従って、通常の株式会社のように稼いだ利益が内部留保されることなし。


 ここまでは良いとして、この分配金、実は法人税が免除されており、制度上かさ上げされたものです。


 この点、ごっそり税金をもっていかれた後の株式会社の純利益とは異なります。


 そして厄介なことに、この税金免除のナイス特例が、場合によって適用されないことあり。(んがっ、先に言ってくれよ!)


 特定の投資主が、リートの投資口の一定割合以上を買い占めた場合です。


 つまり、大口の投資主の保有状況によっては、分配金がほぼ半減する可能性あり。


 とても稀なケースでしょうが、今のようにリートが叩き売られてくると、特定勢力に拠る買い占めも念頭においておかねばならないでしょう。


 つまり、一時的にではあれ、分配金半減の可能性を考えておかないと、アテが外れることもあるよということです。







<リートの運用>


 リートは、仕入れた物件を改装したり、テナントを入れたりした上で、入居者を確保。


 賃料増額をしていきます。


 この手法による成長で、不動産鑑定額も上積みします。


 こういった形で運用資産と賃料収入を最大化して、投資家に還元してくれているわけです。


 が、不動産取引が活発になると、適当に価値が高まったところで売り払って次の物件を仕入れて、といったことも。


 一見、分配金が高くて利回りが良いように見えても、こういった売却益によりかさ上げされている場合もあります。


 物件売却益なしで、どのくらいの分配金を得られるのかというところは、よく気を付けておきたいところです。


 現在のように、売りたくても物件の買い手がつかないような事態になると、この心配が現実化してきます。


 リートは基本的に値上がり益ではなく、分配金狙いで買うべきだと思います。


 リートには、内部留保による再投資という概念がないからです。


 地価そのものの値上がりは、オマケ程度に考えておいた方が無難だと思います。


 この観点からは、優良物件を抱えた上で、その価値を高めて賃料を上げるように、手堅くコツコツとやってくれるところが良いでしょう。


 土地を転がして儲けるビジネスは、バブルのときで懲り懲りです。


 また、この絶好の買い場に資金がなくなって、損失を出してまで保有物件の売却に回るようなところは、絶対にダメだと思います。







<リートの財務レバレッジ>


 株式会社と同じく、リートの資産も負債と純資産から構成されています。


 純資産だけで運用するのではなく、投資効率を考えて50%程度を負債に頼り、これによって総運用資産を増やして分配金も増やそうというわけです。


 低い返済利率で借金して、高い利回りを得られる物件に投資したと考えれば、その効果が分かると思います。


 これにより純資産を増やすことなく、収益を増やせます。


 分配金を増やす魔法のレバレッジ、つまり消費のための借金とは違う、良い借金というわけです。


 で、ここを見ると、負債というのがリートにとって大きな要素となっていることが分かります。


 そして現在、この負債を信用収縮が直撃。


 さらに最近、都心の不動産がミニバブル状態だったこともあって、またまたいらんことし~の御役人から、「不動産融資は慎重に、貸しすぎには注意しましょう!」ってなお達しが出ていた様子。


 このお達しが、リートにまで影響を及ぼしているようです。(現在は、影響の大きさに反省したのか、逆のお達しが出ています。御役人が気負い過ぎて実体経済の足を引っ張るのは、ありがちな光景ですね。w)


 負債はいつかは返済しなければならず、リートの場合、財務レバレッジを一定に保つためには借り換えを行う必要があります。


 ところが、その借り換えが今まで通りの低い利率で通用しなくなったよ、あいたたた。


 これが収益、引いては分配金の低下懸念となり、さらに売買が手控えられるよ、しくしくしく。
 (ToT)


 スポンサーの経営基盤が弱く信用力に劣るところや、負債比率の高いところは、警戒警報発令中です。(本来、スポンサーの信用力は関係ないはずなんですが、リートの仕組みの理解が浸透していないことも影響しているのかもしれません。)


 その結果、分配金の利回りが異常に高くなっているはずです。


 収益が悪化すると分配金が少なくなり、結果的に利回りも低くなって、おめでとう、市場の不安が的中だよ、ということになります。


 つまり、利回り20%とされていても、分配金が半減なら実際は利回り10%ということで、結果的に他と利回りの差は無くなったね、ということになります。


 めでたしめでたし………ちっともめでたくねぇし。


 さらに、借り入れそのものが出来ないということになると、手元の流動性が枯渇。(要するに日々の決済を行うための現金がなくなる)


 今回のニューシティのように、事業破綻へと追い込まれてしまいます。


 黒字で、しかも、賃料という大きな現金収入がありながら破綻……。


 もう何を信じて投資していいのか、分かりませんね。


 個人的には、現在の異常な信用収縮が引き起こした悲劇で、本来なら何の問題もなく経営していけたはずだとは思います。


 しかし、物件購入といった巨額の資金が必要なことを、短期の借入金でやるような真似をしていたのはいただけません。


 これは、きちんと物件を売却し手元流動性を確保した上で行うか、増資をして必要資金を調達してから行うべきものだったはずです。


 結局のところ、ちょっとした油断が命取りになったのだと思います。


 ということで、こういうリスクがあることは要注意。


 逆に懸念だけに止まる銘柄を買えたら、今後高い利回りを長期に渡り安定的に受けられる可能性もありますね。(買うのは、かなり怖いけど。)







<リートの負債>


 負債が借り換えで返せないという場合、増資により資金調達をして返すという選択肢が出てきます。


 が、投資口価格が下落していると、この増資が1投資口の価値を希薄化します。(増資の際に少額の投資口でしか資金調達できない。)


 結果、増資の懸念は投資口価格の下落を招く悪循環。


 今のような信用収縮が起きている場合、低い固定金利で長期借入金へ借り換えしているようなリートは、運用能力ばっちぐー。


 つーか、そもそも短期の借入金はできるだけ避け、固定金利で安定的な運用をしているところが良いです。(大抵のリートは、こういう運用をしているはずです)


 無理な負債もないに越したことはないです。


 これは株式会社の場合と一緒。







<リートのスポンサーと利益相反>


 なぜ負債を増やしてまで資産規模を大きくするかというと、スポンサーに払う報酬額を大きくできるからというのも理由の1つです。


 スポンサーに払う報酬額は、通常のファンドと異なり、ファンドの時価総額ではなく、運用資産総額に対して決まってくるようです。


 つまり、ファンドの投資口価格がいくら下がろうが、スポンサーは運用資産を増やしさえすれば報酬をたくさん稼げるというわけです。


 また、投資法人は、主にスポンサーから運用物件を取得します。


 スポンサーと投資法人は別会社というのが建前ですが、実際はスポンサーの傘下企業だったりして、結局のところ、リートを運用する投資法人がスポンサー企業の利益のために体よく使われるということになります。


 例えば、譲渡資産の価格を高めに見積もって、傘下のリートに売り払うという行為が典型です。


 これがスポンサーとの利益相反の問題です。


 各社、例によってコンプライアンス(法令遵守)体制の確立などと、一生懸命利益相反の根絶をアピールしていますが、リートにはこのような構造的問題もあることは、念頭においておかれるとよいでしょう。


 問題を生じた例として具体的な企業の名前はあげませんが、法令遵守意識の薄い新興企業スポンサーは要注意。


 もっとも、この手の利益相反は、今のところリートの運用上致命的なものではないです。


 意識はすべきですが、あまり神経質になりすぎる必要もないかなと思います。


 何よりスポンサー自身がリートの大口投資主の場合もあり、この場合、信用を失って投資口価格が下落して困るのはスポンサー自身ですから。


 ただ、どちらが生き残るかという選択を迫られた時に、スポンサーが何を選択するかを考えると、個人的には、リートとスポンサーは完全に切り離して運営を行うべきだと思うんですけどね。


 結局のところ、リート、特に新興不動産のリートは、リートの投資口価格下落 → スポンサーたる不動産会社の保有有価証券評価損拡大 → 特別損失計上 → スポンサーたる不動産会社の信用力低下 → リートの投資口価格が更に下落と、デス・スパイラルを巻き起こしているだけの気がします。







<株式とリート>


 はい、ようやく本題です。


 結局、株式と比較してどうなのよということですね。


 ズバリ、安定的な運用がしたいなら、投資口価格の下落の問題はあるけどリートに利用価値ありかなと。


 不動産、特に優良物件を抱えていると、そこに企業や人がやってきて安定的に賃料を落としていってくれます。


 賃貸期間も長期間であることが多くて、投資口価格の下落を気にしなければ、一定の家賃収入が定期的に入ってきます。


 これがリートの魅力だと思います。


 従って、分配金の利回りが良いときに買って、投資口価格は気にせず、長期に渡って分配金をもらうのが良いと思います。


 では、どのくらいの利回りを要求すべきでしょうか。


 これは人によっても異なりますが、とりあえず長期国債と比較し、これにリスクプレミアム3%を上乗せした5%以上(PERでいうと20倍)というのが、僕の中では最低線です。


 PBRにあたる1口あたり純資産額も参考にすると良いでしょう。


 割れると、一応割安という評価ができます。(高値で物件を購入している可能性もあったりするところが、非常に悩ましいですが。w)


 因みに、株式との比較でいうと、資本効率が日本株式で現在10%程度。


 リートの場合は、銘柄や売却益の有無にもよりますが、大体、純資産に対して6~8%前後の利益をあげています。


 つまり資本効率はこの程度ということです。


 まさに、ミドルリターンですね。(下手な株式会社より良いという話もあり。)


 配当性向100%のリートでは、分配金の利回りが株式でいう益回りと一致します。


 PERでいうと、利回り5%ならPER20倍、利回り10%なら10倍ということです。


 利回り10%の大きさは図りしれませんね………本当にきちんともらえるなら。w







<株式と異なる値動き?>


 よく株式と異なる値動きをする、なんて言われていますが、まゆにつばをつけておかなければなりません。


 値動きに関しては、株式バブルが起きているか、不動産バブルが起きているか、あるいはその両方かで異なることがある、というくらいの捉え方でいいのではないでしょうか。


 不景気になれば、企業は活動を停滞ないし縮小させますから、いきおいオフィス物件などで賃料の低下が生じるでしょう。


 資産価格の下落ということになれば、リートの保有物件の鑑定額も低くなるかもしれません。


 結果、不景気の時には、リートの価格も株式と同じく下がってくると考えるのが妥当だと思います。


 株式と違う値動きと聞いて、債券と同じように考えると間違うのではないでしょうか。


 要するに、株式もリートも、バブルでその会社や不動産がもつ収益力以上の過大評価がされ、資金が流れ込んでくれば、互いに異なる値動きをするということです。


 もっとも、根っこは同じなので不景気になって誰も買わなくなり、収益力に対して過小評価がされた時(国債と比較して、益回りや利回りがどう考えてもおかしいとき)、利回りの悪化を織り込みつつ、勇気を出してちゃっちゃと買っておいたらええんちゃうかな、ということです。







<リートの銘柄選択について>


 どの銘柄がいいのか、これはなかなか難しい問題です。


 個人的には、自己資本比率など若干の違いはあれ、どこも似たり寄ったりの経営になるでしょうから、利回りの高いものをと言いたいのですが、スポンサーの信用力次第で、現在のような不景気まっしぐらの時に価格の変動に差が生じます。


 本来、スポンサーの信用力は関係ない仕組みのはずなんですが、皆がそう思っているようなので、注意すべきなんでしょうね。(関係ないとはいっても、投資口価格の下落は不安が大きいですから)


 基本的に、誰でも名前を知っている大手企業がバックについているところが良いと思います。


 もっとも、今度は魅力的な利回りではなくなるという厄介な問題が出てきます。


 こういう時は、分散投資の出番ということで、ETFを買ってみるのが1つの手かなと思います。


 小口で買うことができるので、再投資、追加投資にも便利かもしれません。


 野村がETFを出していたと思います。(参考


 ただし、二重に手数料を取られるわけですから、要求すべき利回りはよく考えておくべきでしょう。







<個人的な見解>


 最近、うちの近くのアパートが売りに出されているのを見ました。


 賃料収入の表面利回り(100%の稼働率で)は、8~10%でした。


 なんだかんだで費用を考えると、利回りはもっと悪くなるでしょう。


 価格が下落している現在、これよりずっと良い利回りで、しかも管理の手間がいらないというのは、非常に魅力的だと思います。


 その一方で、法人税の免除とレバレッジによりかさ上げされた収益。


 しかも、借金は大切な要素なのに、借り換えも難しく、借金を返すための手段は賃料と増資に物件売却。


 増資は投資口価格が下落すれば難しい。


 そもそも資金の出し手がいるかも分からない。


 物件売却は、不動産市場の動向次第で売却損まで出る。


 ニューシティ・レジデンスのやったことを振り返ってみると、釈然としない金融商品ですね。


 住宅賃貸系で無借金で経営するリートなんてのがあれば、それこそ低利回りでも超安全な資産として、日本人好みになりそうな気がします。(借金なしで不動産そのものが証券化により分割保有できる状態)


 スポンサーの報酬や貸出先に困っているくせにいざとなったらさっさと見捨てる銀行のために、わざわざ危険な借金をする必要はないかもしれません。


 この点、低迷する不動産市場と銀行救済のためという、Jリート設立の裏にありそうな経緯に胡散臭さを感じてしまうのは、私だけでしょうか?







 以上、リートについて、お勉強したことを書いてみました。


 制度が始まったばかりなのに、いきなり大試練がやってきていますが、これからトヨタやキヤノンのように、長期間に渡って信頼を築き上げていくリートも出てくるでしょう。


 基本はやはり、信頼できるところが、利回りが高くなったときに、買って長期間保有するということだと思います。


 分からなければ、分散投資。


 リートの魅力は、分配金ということで。(現金収入は偉大なのデス。w)







<破綻した後の処理>


 なお、破綻後の扱いですが、新たなスポンサーを捜して事業再生。


 再上場を目指すことになると思います。


 まあ、スポンサーさえつけば、事業再開は容易でしょう。


 今回の場合、債務超過というわけではなく、手元の資金が不足しただけで、普通にやってれば賃料を回収してやっていけるはずでしょうから……多分。w


 見つからなければ清算ということで、保有資産を売却。


 投資主には、債権者に残債務を支払った後の残余財産が分配されます。


 資産が取得価格で売れれば、純資産分に近い金額の分配は受けられるでしょうが、破綻するような御時世では安値で叩き売られる可能性もありますね。
 orz







<リートを買うべき時期>


 納得のいく利回りであれば(もちろん、分配金減少をある程度織り込んでおく)、買っておいていいのでしょう。


 しかし、リートも不動産業であることを考えれば、真の買い時は景気敏感株と同じく、不景気の時です。


 特にオフィス系のリートは、不景気となるとテナント確保にも苦労することになるでしょう。


 現に、サブプライムショックの影響が大きい現在、オフィスの空室率が上昇を始めています。


 不景気になると、こういったことも影響して皆が警戒し、投資口価格が下落するはずです。


 何より、好景気の時は不動産の売買も活発になり、保有不動産売却によりリートの収益力も高まると考えられます。


 従って、間違っても景気の良い時に多くの資金を突っ込むことだけは、避けておいた方がいいでしょう。(値上がり益を狙う商品ではないというのは、書いた通りです)


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2013/10/03(木) 21:21 | | #[ 編集]
このコメントは管理者の承認待ちです
2013/10/31(木) 17:14 | | #[ 編集]
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