株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 「損切り」、恐らくは投資にとって永遠のテーマ。w


 今回は、この「損切り」という忌まわしい行為について、長期投資の立場から考えてみたいと思います。







 まず「損切り」が必要なのかですが、「長期投資では」全くもって不必要です。


 なぜなら、長期投資家が買っているものが株価や電子化されて実体もないような証券ではなく、その背後にある企業や事業活動そのものだからです。


 株価が下落した場合、長期投資で必要なのは、「断固とした買増し」による取得単価の切り下げとその事業における保有比率の増加です。


(といっても、金太郎さんの場合ゼロコンマゼロゼロ………パーセントの世界ですが。w)


 また、どうしても行わなければならない行為があるとすれば、赤字を垂れ流し将来的に見ても経営がどうしようもない企業との「縁切り」、若しくは、より魅力的な企業を買うための「乗り換え」です。


続き


 これに対し、多くの人が行いたいと考える投資(竹田和平じいじによれば、最初から売ることを考える「投機」)には、「損切り」は避けて通れないものになるでしょう。


 なぜなら、売買することを前提とする以上、短中期的にどう動くか予測不能な株価を相手に大きな含み損を抱え込むわけにはいかないからです。


 この種の投資法では、一定の現金ポジションを持ち、魅力的な市場の歪み(少なくとも自分がそう信じるタイミング)に乗じて資金を投入しなければならないのです。


 また、損切りしないと資金が拘束されてしまい、その間多くの重大な機会損失を出してしまうと、頭のいい人間なら誰しも考えるでしょう。


 これは仮に過去のデータが損切りが不利と示していたとしても、この投資法を採る人にとっての宿命のようなものだろうと思います。


 いくらその時点で反発する可能性が高いとしても、含み損を抱えることは心理的負担を大きくし、次の魅力的投資機会へ踏み出す興奮に代わるものとはなり得ないでしょう。


 つまり、反発しようがすまいが、自分が新たに乗り出す投資機会に比べると、そのまま保有する魅力はほぼ皆無ということになります。


 恐らく、同じ金額の含み損が解消するよりも、次の投資機会で稼ぎ直す方が何倍も刺激的で魅力的で合理的なことだと、ほとんどの人が感じるのではないでしょうか。


 そして、株式投資の世界で得得と語られる儲け話は、この「稼いだ」という部分ではないかと思います。


 含み損が解消したことを「稼いだ」とは言えませんから、この意味からも含み損を抱えることは不愉快極まりない行為です。


 山あり谷ありの株式市場で、蝶のように舞い蜂のように刺す華麗な売買で値ざやを抜くには、損切りは様々な意味で必要不可欠なのです。







 また、損切りできない人は一般的に損失を拡大させてしまうという、プロからの有り難いアドバイスも聞きます。


 確かに、株価が値下がりしていれば、含み損という形で損失を認識できます。


 しかし、実際の経営状態はどうなのでしょう。


 赤字を出すような状態でしょうか。


 赤字を出したとして、それは今後何年も続くようなものでしょうか。


 設備投資や買収などで償却費用がかさんでいるだけで、実際の現金収入は減っていないのでは?


 株価が下がっているときに、経営者はどのようなことを行っているでしょうか。


 自社株買いや消却を行っていませんか?


 将来の企業価値を高めるために、次々と布石を打っているのでは?


 このような場合、わざわざ損失を「確定」する必要があるのでしょうか?


 そして、損失を確定する場合、なぜ株を買ってくれる人が市場にたくさんいるのでしょう?


 売れば値下がりのリスクを避けられるというのに、なぜ大株主は売らずに保有を続けているのでしょう?


 任天堂の山内さんは、株価が7万円に到達しようかという時に、全株放出して売り逃げていたら良かったのでしょうか?


 現在、高値の半値以下に落ち込んだ株価を見て、資産が半分になったと嘆くべきなのでしょうか?


 損切りしないと損失(含み損)を拡大させる傾向があるのは確かです。


 しかし、損切りを始めると逆に、肝心の株価上昇時にも利益を早く確定させて逃げ出すため、利益も縮小させてしまう傾向が出てしまうと思います。(物事には必ず一長一短があります。)


 投資のプロのアドバイスは一考すべきですが、彼らより「明らかに」優れた投資家であるバフェットじいじは、そのようなアドバイスはしていません。


 結局、投資期間が短くなればなるほど、損切りが必要な度合いが増すということで、「自分にとっての」理想の投資期間を設定しなければ、損切りの要否をあれこれいってみても始まらないのです。


 そして長期という投資期間を設定した場合、損切りの要否について、売買を考えている人と議論をしても一切かみ合うことはないでしょう。


 拠って立つ立場や考え方が、まるっきり違うからです。


 バフェットじいじが仰っているように、5分説明して分からない人には、長期投資の考え方をいくら説明しても無駄なのです。


 50%値下がりしても保有を続けるなどということは、あり得ないお話なわけです。


 もっとも、「損切り」した方がほぼ確実に目先の含み損を抑えられる場合はあります。(100%ではありませんが)


 相場全体が軟調な中での大幅減益や赤字発表の場合です。


 そのような情報を得たら、すぐさま売り払って、ヒステリックに反応する株価が下で落ち着くのを待つのが頭のいいやり方でしょう。


 ほとんどの場合、買ってくれる人にツケを回すことができます。


 長期投資といいながら、こういう行為を行うことが美しいかどうかは問題ですが。







 売買中心の投資法は、多くの人が多くのお金を失ってきたやり方で、積極的に支持はしませんが、さりとて批判する気にもなれません。


 当たれば短期間でたくさんお金が稼げるし、実際当てた人もいるし、何よりとても刺激的で興奮できて楽しめます。(やったからよく分かります。w)


 金太郎氏はもうしないけど、やってみたら儲かるかもしれないよ、といったところです。


 逆に、長期投資だったら確実に儲かるとも言えません。


 株価が高い時にやってきて、まだまだいくぞと興奮して間違ったものを買ってしまい、株価が落ちて落胆するばかりで何の手当もしなければ、長期のリターンも低いものにならざるを得ないでしょう。


 仮に魅力的なビジネスであっても、株価が高い時に買って待っているだけでは、回復だけで多くの時間を要します。







 損切りの要否は結局、自分の投資スタイルに応じて自分で判断するしかないと思います。


 少なくとも金太郎氏の現在の投資スタイルからは、やる価値のないことであり、うまくやっても全くもって意味のないことです。







 なお、長期投資家であるか、そうでないかを見極めるキーワードが、この「損切り」です。


 目指す投資法が長期投資であるなら、アドバイスを受ける人間から発せられる言葉には最大限の注意をすべきです。


 もし、アドバイスをしてくれる人の口から「損切り」という言葉が出たら、その人は長期投資家ではありません。


 従って、言っていることに耳を傾ける必要はないです。


 もしかしたら、有益な意見が聞けるかもしれませんが、それは恐らく短期的な利益を得るためのものに止まるでしょう。


 「一定以上下がったら一旦損切りした方が良い。」などというアドバイスが典型例です。


 目先で損失を抑えることを力説しますが、では利益を大きくするにはどうしたらいいかということについては、根拠のあるアドバイスを聞くことはできないはずです。


(試しに、次の質問をぶつけてみて下さい。「じゃあ、今度買ってまた下がったら、また損切りすればいいんでしょうか?」「その次に買ってまた下がったら?」「それで、お金が無くなったらどうすればいいんでしょうか?」「私は運が悪いから、もう株式投資は止めた方がいいんでしょうか?」)


 このアドバイスに従えば、恐らく、下がる株価を見て、「あ~、損切りしてよかった!」と納得し、株価上昇局面での利益の取りこぼしには無頓着となるでしょう。


 そう、不思議なことに、人間は同じ額の利益と同じ額の損失では、損失の方が何倍も不愉快なのです。(行動経済学の示すところです。)


 人間心理への理解と投資に対する哲学がなければ、結局のところ、この性向を克服することはできないでしょう。


 さわかみファンドの澤上のおじさんが、株価の勉強をする暇があったらバルザックや大河小説を読んでおけというのも、こういうところにあると思います。


 バフェットじいじが仰るように、投資は本当に単純ですが、実はこれほど難しいこともないのです。


 損切りについての長期投資家的アドバイスがあるとすれば、「損切りしなければいけないような投資対象やタイミング、そして資金配分で投資をするな!」でしょう。


 投資対象については、自分がよく理解していて、例え半値以下になっても長期間お付き合いしたい優秀な業績を残していける企業。


 タイミングについては、株価全般の水準が切り上がっているとき程警戒して。


 景気敏感株であれば好景気のときほど、より抑制的に警戒心を強めながら。


 株価が大きく下がった時は、警戒心を解いて強欲に。


 所詮、株価の短期的変動など誰にも分かるわけはないのですから、時間的分散を図りながら売りが集中したときを狙って徐々に買い進めていく。(資金に余裕がない人でも、ファンドや単元未満株という方法があります。)


 恐らく、ここで書いていることは、いわゆる投資(投機)の常識には反するのでしょうが、長期投資家からすれば当たり前のことばかりだと思います。