株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。

 市場を創る(REINVENTING THE BAZAAR)は、ジョン・マクミラン、スタンフォード大学大学院教授の著作です。


 教授はゲーム理論の応用、市場メカニズムのデザイン、移行経済の改革に関して多数の論文を持つ経済学者で、机上の理論に止まらず実社会において実践をされている優れた学者さんだそうです。


 この本では、今までに現れた様々な市場を概観しつつ、市場の持つ機能や限界について詳述されています。


 第二次大戦中に捕虜収容所でできた市場や、大阪で創設された世界初の先物市場などについても触れられています。


 先物市場って、日本人が初めて創ったシステムだったんですね。


 この他にも過去から現在に至るまで、人間社会に現れた数々の市場の解説は、非常に興味深いものがありました。


 保守派(新古典派)経済学の論者が重要視する市場原理ですが、肝心の市場についてはよく分かっていないそうです。


 そういえば前に読んだ本でも、需要不足の有無についてはよく分かっていないなんてな話がありました。


 経済学って、肝心要の超基本的なところが分かってないんですね。


 それがこの学問の面白いところなのかもしれませんけど。


 マクミラン教授は、この不可思議な市場というシステムについて、本書の至るところでとても有益な指摘をされています。


 それは、市場というシステムは道具であって、過度に絶対視することも、敵視して否定しきってしまうことも妥当でないということです。


 そして、市場が「うまく設計されているとき」、経済学の祖アダム・スミスの言う神の見えざる手が資源を適切に分配し、理想的な状態を創出してくれると説いていらっしゃいます。


 これは至言だと思います。


 実際、株式市場という1つの市場システムを見ても分かりますが、各々がルールもなくてんで勝手に売買をしていたのでは、恐らくこれだけの資金を集めることはできないでしょう。


 インサイダー取引や、株式市場を利用して資金を集める企業に対して、適切な監視と制約を課していく制度設計がなければ、誰も資金を拠出しようとはせず、うまく機能しないはずです。


 他方で、制約があまりにも厳しく売買の自由度が制約されている場合も、多くの資金を集めることは困難でしょう。


 結局、市場というシステムを創り利用する場合、大切なのはその機能を最大化するためのバランスの取れた制度設計ということになります。


 市場というものの意味を問い、その機能について深く考えさせてくれる良書だと思いました。







 最後に、印象に残った一節を紹介します。


 1992年、共産主義が崩壊したロシアで、国家が経済に対する統制を突然停止しました。


 2、3年後、市場経済への移行が泥沼にはまり、情けないほどの状態になったとき、モスクワの街では次のようなジョークが広まったそうです。


『Q:共産主義の下では、電球を交換するのに何人の人が必要だろうか。

 A:5人。1人がテーブルの上で電球をソケットに突っ込み、4人がテーブルを回転して電球をつける。

 Q:資本主義の下ではどうだろうか。

 A:誰も必要としない。市場がやってくれる。


 市場は多くのことを行うことができる一方で、自動的には機能しない。助けがなければ、市場は何もできないのである。』



市場を創る


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本日の気になる株の情報提供します!毎度毎度の澤上さん... 確かに、増えた後には社会のお役に立つような方法で還元していきたいものです。 さ、今回も勉強させてもらったことだし、また、さわかみファンドにお布施を寄進して
2007/08/12(日) 18:33:43 | 株の情報提供します