株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。
株は配当金を狙って


「危険な銘柄を避けよう!」の続きです。


 儲かってそうなのに、実は儲かってないんじゃないかということが分からないか?


 その答えを探す前に、元メジャーリーガーの長谷川滋利投手がおっしゃっていた言葉を1つ。


「後ろを見ろ。そこに全部書いてある。」


 甚だ不正確な記憶で申し訳ないですが、確か、長谷川投手がアメリカでコーチに教えられた言葉だったと思います。


「後ろ」というのは、バックスクリーンのことで、ここには試合の状況をデータ化して表示してありますね。


 つまり、何を為すべきか分からない時には、ここを見れば全ての状況が分かり、答えが出てくるよってことです。







 個人投資家にとってのバックスクリーン、恐らく、多くの個人投資家にとって、昔からこれに該当してきたのは会社四季報でしょう。


 ということで、四季報を見ていると、キャッシュフローという項目があります。


 さらに四季報の解説のところでキャッシュフローの使い方を見てみると、数年間営業キャッシュフローがマイナスの銘柄には注意しなさいということが書かれています。


 さて、このキャッシュフローとは何なのか。


 キャッシュフローとは、一定期間における企業の現金収支をいいます。


 上場企業には、キャッシュフロー計算書として貸借対照表や損益計算書と共に開示が義務づけられています。


 前にも書きましたが、貸借対照表や損益計算書は会計監査人の「意見」が反映されており、度重なる粉飾決算が示す通り、実態を反映しないことも多いです。


 そこで、企業が持つ現金の観点から財務体質を見ようということで、2000年3月期からこのキャッシュフロー計算書が導入されました。


 企業が持つ現金及び現金同等物の増減を「客観的に」示しているので、投資家にとっては最も信頼に足る財務諸表ということができるでしょう。


 四季報では2期分のキャッシュフローが載っていますが、ホームページにいって有価証券報告書を見れば5期分のキャッシュフローの増減が出ています。


 項目は以下の3つ。







 営業活動によるキャッシュフロー


 投資活動によるキャッシュフロー


 財務活動によるキャッシュフロー







 このうち、よく注意して見るべきは、四季報が指摘している通り営業活動によるキャッシュフローです。


 では、なぜ営業活動によるキャッシュフローが重要なのでしょうか。


 まず我々が通常よく目にする売上高についてですが、発生主義と言う会計上の原則を基礎として、その考え方の1つとされる実現主義に基づき、売り上げを実現した段階、即ち、商品を引き渡した段階でカウントされます。


 そして、この売上高を基本として、営業利益やら純利益やらが算定されていきます。


 あれ?と思った人は鋭いです。


 そう、売り上げただけで、相手方から対価となるお金をもらってなくてもいいんですね。


 ここに従来の貸借対照表や損益計算書の落とし穴があります。


 つまり、売り上げただけで資金を回収できなければ、会社の資産は実際には増えてないということになるのです。







 さあ、ここで以下のケースを考えてみましょう。


 ここにA、B、Cの3つの会社があります。


 会計上の数字を良く見せるために、これらの会社が相談しました。


 実在しない商品を順繰りに売買して、売上高を水増ししていこうじゃないか。


 まずA社がB社に架空の商品を売ったことにします。


 もちろん伝票や領収書も作ります。


 同じ手口でB社からC社へ架空の商品が売られます。


 そして、C社からA社へ。


 お金と注文だけが、こうしてグルグル循環し、売上高はブクブクと膨れ上がりました。


 これ、架空循環取引と呼ばれる粉飾決算の1つの手法です。


 最初に紹介したダメダメ企業、IXIが行ったのではないかと言われている方法ですね(実際はもっと複雑な仕組みです)。


 読んで理解してもらえたと思いますが、金がグルグル回るだけなので、現金は増えようがありません。


 この例からも分かる通り、キャッシュフローを見ておけば、資金の流れがおかしくないかということに気付くことができ、危ない銘柄を避けられる可能性が高いです。


 そして、商品を売り上げて利益を出すという本来の企業活動での現金収支を示すのが、営業活動によるキャッシュフローというわけです。







 ここで意味を確認しておきましょう。


 営業活動によるキャッシュフロー(以下、営業キャッシュフローとします)とは、キャッシュフローのうち、企業の販売による収入、原材料仕入による支出、営業経費による支出などを現金収支の面から表したものです。


 損益計算書でいうと、営業利益(損失)に該当する部分となります。


 ここがマイナスになるということは、企業活動の結果、肝心の現金収入を得られていないということになります。


 つまり、マイナスになった年というのは、企業活動が実際の収益に全く貢献していないということです。


 実際、営業キャッシュフローがマイナスの年は、赤字を出しているか、株主資本を減少させているケースが多いです。


 営業で実際に得た収入がないのですから、その分を補填しないといけませんし、次の投資に向けた資金(投資キャッシュフロー)も銀行等から借りて捻出しなければなりません。


 財務キャッシュフローを見てみましょう。


 これは銀行等から借り入れた場合にプラスとなり、借入金を返せばマイナスになります。


 ちょっと不思議な感じがしますが、キャッシュフローは現金の増減を示しているので、資金を借り入れれば、手元にあるお金が増えて財務キャッシュフローはプラス。


 借りて手元にあったお金を返せば、手元のお金が減ることになって、財務キャッシュフローはマイナスということになるんですね。


 営業キャッシュフローがマイナスの企業は、企業活動を借金に頼らなければならないので、財務キャッシュフローが大幅なプラスになっていることに気付きます。


 借金をすれば株主資本比率も下がります。


 企業活動で現金を回収できない企業は、こうして財務体質が悪化していくというわけです。







 このように売上高、利益が順調に増えている企業でも、その実、現金収入は全くないという例が散見されます。


 会計上は順調に成長しているように見えて、実際には営業キャッシュフローはマイナスで財務体質はどんどん悪化。


 これを「勘定合って銭足らず」というそうです。


 こういう企業は、そもそも企業活動が成立していない場合も考えられます。


 行き着く先は、資金繰りに行き詰まって倒産ということになるでしょうか。


 そうならないためには、必ずどこかで帳尻を合わせないといけませんよね。







 さあ、ここでもう一度、最初に紹介したダメダメ企業の有価証券報告書を見てみて下さい。


 営業キャッシュフローがどういう軌跡をたどっているか。


 きっちり頭に焼き付けたら、今度は自分が選んだ投資先の営業キャッシュフローを見てみましょう。


 不安に思ったら、その投資先は避けた方が無難です。


 敢えて投資する場合でも、リスクを認識しておきましょう。







 最後に、健全な企業のキャッシュフローがどうなるかを付記して、この記事の締めくくりにしたいと思います。


<営業キャッシュフロー>

 企業活動によって多くの現金を獲得するため、大きなプラス。


<投資キャッシュフロー>

 獲得した現金を次の投資先に振り向け、更なる企業活動の拡大を図るため、営業キャッシュフローの範囲内でマイナス。


 営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足した額が、手元に残る投資家に配分可能な現金資産となる。


 これをフリーキャッシュフローと呼ぶ。


<財務キャッシュフロー>

 企業活動で得た現金資産(フリーキャッシュフロー)を借入金の返済に充てて、財務体質を強化していくので、ここもマイナス。


 結果、株主資本比率も高くなる。







 以上、大まかにキャッシュフローについて勉強したことを書きました。


 企業の拡大期には、攻めの経営で多額の借入金で資金調達して有望な部門に投資するため、フリーキャッシュフローが大きなマイナスになり、財務キャッシュフローが増えることがあります。


 だから、一概に上記のようなキャッシュフローでないと、優良企業ではないとは言えません。


 貸借対照表や損益計算書、それからニュースなどの情報を補完するものとして、キャッシュフロー計算書を見てみるとよいでしょう。


 その上で、よくリスクを認識してから投資していきましょう。


応援ありがとうございます!人気blogランキングへ

株は配当金を狙ってTOPに戻る


個人投資家向けIR説明会「ブリッジサロン」
新興企業のトップから直接話を聞くことのできるサロンを開催。
無料で参加できます。3月3日(土)は東京で日本コンピュー
タ・ダイナミクス、アグロ・カネショウの会社説明会あり。

コメント
この記事へのコメント
私は四季報を使っていないんですが、営業CFがマイナスなのは困りますよね。
2007/02/25(日) 18:18 | URL | ゆか #-[ 編集]
四季報にも二期分しかありません。
有価証券報告書でより詳しい動向はチェックしておいた方がいいでしょう。
あんまりマイナスが多いようだと、長期投資の対象からは外しておくのが無難でしょうね。
私は、短・中期でもあんまり投資したくありませんけど(笑)。
2007/02/25(日) 22:36 | URL | ゆかさんへ #-[ 編集]
大喜利参加ありがとうございました!

なるほど~キャッシュフローですね!

これから、注意してみるようにしますよ!!
2007/02/26(月) 19:03 | URL | しんえもん #-[ 編集]
キャッシュフロー恐るべしですよ~。
少なくとも借金経営かどうかが分かるので、リスクを測るには良いと思いますよ。
マイナスが続いているようだと要注意です。
2007/02/26(月) 21:59 | URL | 師匠へ #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://kabuhaitoukin.blog48.fc2.com/tb.php/160-a54de90b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
米大リーグ、パイレーツの桑田真澄が4日(現地時間)、レッズとのオープン戦で1イニングを無失点に抑える好投を見せたが、38歳の“オールドルーキー”の初登板は地元紙でも大きく取り上げられた。ピッツバーグ地元紙『ピッツバーグ・ポストガゼット』は5日、レッズの中軸打
2007/03/07(水) 21:02:44 | スーパーサイヤ人