株の配当金を狙った長期投資を実体験を踏まえて研究。
株は配当金を狙って


 昨日、リアルビジョンが値下がりしたと書きましたが、背景にMSCBがあるようです。


 今回は、このMSCBについて書こうと思います。







 まずMSCBとは、Moving Strike Convertible Bond の略で、日本語では転換価格修正条項付転換社債といいます。


 これも昔の呼び方で、現在は会社法が新設されて、転換社債は新株予約権付社債となっていますから(会社法236条2項、238条1項6号、254条2項・3項、292条以下)、価格修正条項付新株予約権付社債といった方がいいかもしれません。


 リアルビジョンのホームページでは、無担保転換社債型新株予約権付社債となっています。


 ややこしいのは名前だけでなく、制度自体もややこしくて、間違いなく多くの一般株主には訳が分かりません。


 で、金太郎さんの意見としては、いつもの通り、「訳の分からないものには手を出すな」です。


 上場している以上、多くの一般株主も相手にしているのですから、経営は単純明快に行うべきであり、複雑な仕組みを利用すべきではないと考えます。


 短期でならともかく、長期でこういうことをやる企業の株を持つと、損をする可能性が高いと思います。







 で、その仕組みですが、MSCBは企業の資金調達手段です。


 企業規模を拡大したいが先立つお金がないって時に、MSCBを発行して資金を調達します。


 転換社債(新株予約権付社債)が基本になっていますが、この転換社債というのは、社債の形で発行されるが途中で株式に転換することもできる資金調達手段です。







 といっても、社債と株式の違いも分からない人も多いと思います。


 社債というのは、公衆に対する起債によって生じた会社に対する債権で、これに有価証券の発行されるものをいいます。


 お手軽な資金調達手段としては、社債でなくて銀行等での借り入れがあります。


 しかし、多額かつ長期の借り入れとなると、御存知の通り自分達だけリスクを取らないガチンコ経営の銀行さんなので、なかなか難しいことが多いです。


 そこで公衆に対する起債である社債を利用するということになります。


 社債の利用により、会社は社債権者に対して、いずれは返さなければならない負債を抱えることになります。


 一方、株式は、株式会社の社員たる地位が均一的な細分化された割合的単位の形をとったものをいいます。


 社員とはいっても会社員や従業員とは異なり、ここでは所有者といった意味ですね。


 株式の所有者である株主は会社の所有者なので、株主が払い込んだ価額につき、社債と異なり会社は原則として償還の必要がありません。


 また、会社の所有者なので、社債と異なり原則としてその持ち分に応じ、会社の経営に関して株主総会において議決権を行使できます(会社法105条1項3号)。


 剰余金の配当を受ける権利もあります(会社法105条1項1号)。


 株式による資金調達手段としては、新株発行による増資があげられます。







 それで、新株発行と社債の発行ですが、同じく大量かつ長期の資金調達手段ですが、社債は償還しなければならない負債を抱えて経営を圧迫する恐れがある反面、経営に参画してこられることはありません。


 また、会社の持ち分を有する者が増えるわけでもありません。


 このことは、短期的には1株利益が減らないことを意味します。


 逆に、新株発行だと償還の必要のない資金を獲得できる反面、会社経営に参画してくる株主が増加します。


 また、短期的には1株利益の希薄化という現象を招きます(資金調達で事業が成功すれば、利益拡大となりますが)。


 従って、新株発行の場合、株価も短期的には下がる場合が殆どでしょう。


 実際、最近では日本航空が新株発行による増資に踏み切りましたが、株価がダダ下がってました。







 さて、ようやくここで転換社債(新株予約権付社債)ですが、「資金拠出者の」便宜を図り資金調達を行いやすくするための制度ということができると思います。


 当初は社債として発行されるのですが、資金を得て業績が良くなれば、当然株価も上がります。


 この時に株式に転換できれば(新株予約権を行使できれば)、社債で償還を受けるよりも美味しいということになりますね。


 逆に株価が下がれば、社債のままで償還を受ければいいということになります。


 これが転換社債(新株予約権付社債)のメリットです。


 潜在的に株主が増える点で、新株発行にも似ています。


 社債といっても株式の性質を持つものと言えるでしょう。


 当然、既存株主にダメージを与える可能性があることから(予約権が行使されれば、1株利益の希薄化だけでなく、会社の持分割合が減るので議決権行使による経営に対する影響力も希薄化する)、一応保護措置も講じられています。


 まず、発行には株主総会の特別決議(株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数が賛成)が必要です(会社法238条2項、309条2項6号)。


 また、発行差止請求権(会社法247条)、新株予約権発行不存在確認の訴え(829条3号)といった手段も認められています。


 ところが、特別決議に関しては大株主だけで通っちゃうでしょうし、残りの権利についても行使する人間なんてまずいないでしょう。


 大体、この手の資金調達手段を選択した時点で、経営的に行き詰まっているはずですから(豊富なキャッシュがあれば、そもそも資金調達の必要がない)、さっさと売って次の機会を待った方がいいと思います。


 長期保有にしてしまうのは、配当もないでしょうから、かなりリスクが高いと思うのです。







 で、最後に価格修正条項付という部分ですが、これは転換(新株予約権発行)の際に予め価格を決めておき、株価の変動によって価格を変動させるものです。


 これまた資金拠出者の便宜を図るための制度設計で、その時点での株価の何%かを割り引いた価格に修正していくようです。


 経営者からすれば、資金を拠出してくれる有り難い存在なので、このような厚遇も当然ということになるでしょうか。


 しかし、多くの少数一般株主からすれば、迷惑千万な話かもしれませんね。


 ちょっと長くなったので、続きは次の記事で。


【株式投資】勘に頼らず、ソフトで【検証】


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コメント
この記事へのコメント
MSCBをやる企業は株主のことを考えているとは思えません。
それをやった企業の株価を見ても、その後右肩上がりになったところは見たことないです。
見送ったほうが無難ですね。
2006/12/26(火) 22:32 | URL | 京 #-[ 編集]
こういった制度は、株主の為なのか会社の為なのかよくわかりません。
こんな話をすると、会社は株主のものか?などという話になってしまいそうですが・・・

でも、色々と勉強になりました。
株をやっていると悪材料にしか見えませんが、少しでも内容を理解しようとすると別の視点も見えてきますね。
2006/12/26(火) 23:58 | URL | muramura #-[ 編集]
長期的な視座に立つなら、業績打開の1つの手段として有効なこともあります。
確実に儲かりそうな分野へ進出可能だけど、肝心の資金がないって時ですね。
利益をあげれば、1株利益の希薄化なんてぶっ飛びます。
ただ、これを発行するところまで追いつめられているわけですから、そのような経営者が大量の資金調達を生かせる確率は、かなり低いと言わざるを得ませんね。
堅実な投資をしたいなら、手を出さない方が無難でしょう。
2006/12/27(水) 00:17 | URL | 京さんへ #-[ 編集]
う~ん、そうですね、muramuraさんのおっしゃりたいことは分かります。
この場合、一般株主と経営権を握り自ら取締役としても君臨する大株主とを分けた方がいいかもしれませんね。
また機会があれば書きたいと思いますが、会社は間違いなく株主のものです。
もっとも、ここでいう株主には、ホ○エモンのような大株主から、我々のような少額で資本参加している者も含みます。
その個々の株主が持ち分に応じて、会社を所有しているということですね。
この場合、大株主であり経営者を兼ねる者が、資本多数決を利用して少数株主の利益を踏みにじる構造になっているんですよね。
いわば、会社の持ち主同士で利害が対立している状態な訳です。
経営者の側からすれば、資金を調達して経営を抜本的に立て直したい。
少数株主からすれば、危ない橋は渡らずに堅実に業績を上げて欲しいということでしょうか。
ハイリスク・ハイリターンを狙うわけですから、嫌な人間は株式を譲渡して逃げればいいだけです。
経営方針に賛成できる人が、自分の妥当と思う値段で株を買って資本参加すればいいということですね。
先の事は分かりませんから、経営者の経営判断が正しくて、大幅な業績拡大につながることだってあります。
この時、株を売らずに保有していた株主は、「あ~持ってて良かった」と思うことになるんでしょう。
この辺りの判断は、個人個人がやるしかありませんね。
2006/12/27(水) 00:34 | URL | muramuraさんへ #-[ 編集]
こんばんは~!

どうやら今回のは、1年前のMSCBの転換価格の修正みたいです。

そういえば、1年前は黒字予想からの赤字拡大というありえない下方修正をくらいましたからね~笑(3連続S安!)

そろそろ経営が軌道にのってきたようですので、期待してもいいんじゃないでしょうか~!!(1年間の塩漬けも2年間の塩漬けも一緒じゃボケ~大作戦ですよ~!)



2006/12/27(水) 00:34 | URL | しんえもん #-[ 編集]
やあ、師匠。
そうです、1年前の修正ですよ。
次の記事で詳しく書きますからね。
問題は経営が上向きになるかどうかだけです。
黒字転換なら問題はないと思いますよ。
2006/12/27(水) 01:00 | URL | しんえもん師匠へ #-[ 編集]
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